「善玉コレステロール」とも呼ばれるHDLコレステロール(HDL-C)は、多ければ多いほど良いとされている。そのため、HDL-Cを上げる薬の開発が進められてきたが、心臓や血管の状態を良くすると直接証明できた臨床試験はなく、開発中止を決めたメーカーも複数出ているようだ。こうした中、脂質と動脈硬化に関する従来の知見を覆すような検討結果が欧米の研究から明らかになり、5月17日付の英医学誌「Lancet」(電子版)に発表された。HDL-C上昇が、心臓や血管の病気になるリスクの低下につながらない可能性が示されたという。このほか、米ハーバード公衆衛生大学院のFrank M. Sacks氏らからは、HDL-Cの中に"悪玉"が存在するという研究結果を報告している(関連記事)。