若者を中心に浸透しているオンラインゲーム。リラックスしたり、集中力を高めたりする効果が期待できる半面、のめり込む恐れもある。脳波から人の感情を読み解く研究をしている慶応義塾大学理工学部(横浜市)システムデザイン工学科の満倉靖恵教授にゲームとの付き合い方を聞いた。 ▽集中力や仲間意識 満倉教授によると、オンラインゲーム中は集中していることを示す脳波が表れる。「トランプなど従来のゲームと比べ、より集中し、一度にさまざまなことを考える能力が付くと考えられます」。場合によってはリラックスすることもある。複数の人が同じ目標に向かって取り組むことで、仲間意識を醸成できるともいう。 一方で、「プレーする時間や頻度をコントロールできない」「他に優先すべきことがあるのにゲームに興じてしまう」といった依存性が懸念されている。世界保健機関(WHO)は2019年、ゲーム依存を病気と認定した。 ▽休憩を取ろう ゲームと適切に付き合うにはどうすればいいのか。満倉教授は「人間の集中力は40~45分程度で途切れます。のめり込まないようにするためにも、その時間を目安に休憩を取ってはどうでしょうか」と勧める。 プレーする時間帯も重要だ。ゲームをしていると、快楽を伝えるドーパミンや闘争に関わるアドレナリンといった体内物質の働きが活発になる。夜、寝る前に行うと興奮して眠れなくなり、翌朝起きられないという悪循環に陥りかねない。寝る前に遊ぶのは避けた方がよい。 一方、ゲームに熱中するのはけしからんと、父母や祖父母らがいら立ったり、怒ったりする「不機嫌」になるのは得策ではないという。 「私たちの研究では、不機嫌なときに表れる脳波は周囲の人に『うつる』ことが分かっています。親たちの不機嫌が子どものストレスになり、かえってゲームに逃避することになります」 「ゲームは絶対に良い、絶対に悪いとも言えません。一日のうち時間を決めるなど節度を守って付き合えば、メリットの方を生かせます」と話している。(メディカルトリビューン=時事) ◇ ◇ 慶応義塾大学理工学部の所在地 〒223―8522 横浜市港北区日吉3の14の1 電話045(566)1718(研究室)