日光浴びて運動を―骨密度の維持に効果

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 日常的にサッカーやバレーボールをしている40歳代の女性は、運動習慣のない同年代の女性に比べて骨密度が高いことが、順天堂大学大学院(東京都文京区)などの研究で分かった。研究に携わった同大学院保健医療学研究科の宮森隆行講師は「骨密度を維持して健康な生活を送るには運動が有効です」と指摘する。

▽物理的な刺激

 宮森講師によると、骨は絶えず新陳代謝を繰り返しており、若い人であれば3年程度、高齢の人であれば5~10年程度で体内の骨が新しくつくり変えられている。新陳代謝のバランスが崩れると、骨密度が低下して骨はもろくなり、骨粗しょう症を発症し骨折しやすくなる。

 骨の新陳代謝のスピードは加齢とともに遅くなる。女性ホルモンの一つで、骨形成を促すエストロゲンは、閉経すると分泌量が減って新陳代謝のバランスが崩れ、骨粗しょう症の発症リスクが高まる。骨粗しょう症の有病率は、女性は男性の約3倍といわれる。

 研究グループは、閉経前の40歳代の女性でサッカーをしている27人、バレーボールをしている40人、運動習慣のない25人について、それぞれ腰椎(背骨)と大腿骨頸部(だいたいこつけいぶ、足の付け根)の骨密度、骨の新陳代謝に関わる血中ビタミンD濃度を比較した。

 その結果、大腿骨頸部の骨密度はサッカー群とバレーボール群で運動習慣のない人より高く、腰椎の骨密度はバレーボール群がサッカー群と運動習慣のない人より高かった。また、血中ビタミンD濃度はサッカー群が最も高かった。

 骨への物理的な刺激が新陳代謝を促すという。「サッカーは長い距離を走ったり、急な方向転換を繰り返したりすることが刺激になります。バレーボールをしている人の腰椎の骨密度が高いのは、ジャンプによって腰椎にも刺激が伝わるからと考えられます」

▽団体スポーツの勧め

 骨密度の維持には食事でのカルシウム摂取が必須だが、カルシウムを体内に吸収させるためにはビタミンDが必要になる。ビタミンDを摂取する方法は食事だけではない。皮膚にはビタミンDの元となるプロビタミンD3が存在し、紫外線が当たるとビタミンDに変わる。サッカー群の血中ビタミンD濃度が高いのは、屋外で紫外線を浴びる時間が長いからと考えられる。

 宮森講師は「骨密度を維持するためにはウオーキングやヨガなど一人でもできる運動も有効ですが、サッカーやバレーボールなど団体スポーツを楽しむ中で運動習慣が身に付くケースも多いです。まずは家族と一緒にウオーキングなどから始めるといいでしょう」と助言している。(メディカルトリビューン=時事)

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 順天堂大学大学院保健医療学研究科の所在地 〒113―0033 東京都文京区本郷3の2の12 御茶の水センタービル

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