健康の要は胃腸ーガットフレイル

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 ガットフレイルとは、胃腸(ガット)の働きの虚弱化(フレイル)を意味する新しい概念だ。フレイルは加齢による虚弱な状態を指すのが一般的だが、ガットフレイルは赤ちゃんから働き盛りの人も含むすべての人を対象に、胃腸対策から心身が健康なウェルビーイングを目指す。京都府立医科大(京都市上京区)消化器内科学教室の高木智久准教授に聞いた。

▽胃腸の健康に関心を

 近年、胃腸の働きの虚弱化が、さまざまな疾患の原因になることが明らかになってきた。産学でつくる日本ガットフレイル会議学術委員長でもある高木准教授らが、特に注目する消化器症状が便秘だ。

 「便秘は心筋梗塞や慢性腎臓病、パーキンソン病などさまざまな疾病リスクを高めます。最近は、生命予後(病気や治療などの見通し)に影響を及ぼす健康問題という認識に変わってきました」と高木准教授。学童期では「ガットフレイルが精神機能障害の要因の一つである可能性も」と話す。

 適切な対策が必要だが、便秘で医療機関を受診する人は少ない。「胃腸のコンディションが学業や就労、睡眠といった日常生活に、いかに大きな影響を与えるかを知ってほしい」

 ガットフレイル対策の第一歩は「自分の便に興味を持つこと」。「毎朝、便意はなくてもトイレに行く、どんな便が出たかを確認するなど、胃腸の健康に意識を向けましょう」

▽朝食で腸内環境改善

 毎日、朝食をしっかり取るのも重要な対策の一つ。忙しいからと朝食を抜いている人は、食べやすいものを少量でも食べる習慣付けが重要だ。「慣れてきたら、食物繊維の多い食材や発酵食品を加えるなど、グレードアップするのがお勧めです。食生活を少し見直すだけでも、継続すれば腸内環境のバランスが改善していきます」

 高木准教授らの研究グループは、働き盛りの3000人を対象にインターネット調査を実施。ガットフレイルに関する総合的な解析を進めている。

 高木准教授は、腸内環境の老化を防ぐことで、全身的なフレイルの進行を予防できる可能性があると考えており、日本人が健康に暮らしていける胃腸の整え方の提言も目標の一つだ。「幅広い年齢層の調査を実施して解析を進め、より具体的な対策を提案していくので、注目していてください」

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