林と人里の境界に注意ーマダニ感染症が発生しやすい所

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

 マダニが媒介する感染症。その一つである重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について、森林総合研究所(茨城県つくば市)の飯島勇人主任研究員らのグループは、患者の発生が、森林と草地、畑、道路などが接する林縁(りんえん)や、温暖な場所で多いことを明らかにした。

▽致死率27%

 マダニは体長1~5ミリ程度で、森林や草むらに生息する。野生動物にかみついて血を吸うときに病原性ウイルスも吸う。その後に人をかみ、ウイルスをうつすことで発症するのが、マダニ媒介性感染症だ。

 SFTSは、国内では2013年に初めて発生。症状は、発熱や食欲不振、吐き気、嘔吐(おうと)などで、血小板の減少が見られる。血小板は出血を止める働きがあるので、減少すると歯肉出血や下血などを伴う。意識障害が起きるなど、重篤な経過をたどることもある。厚生労働省によると、致死率は27%である。「今のところ、感染を予防するワクチンはありません」(飯島主任研究員)。

▽野生動物も行き交う

 飯島主任研究員は札幌東徳洲会病院(札幌市)のグループと共同で、マダニ感染症が発生しやすい場所を調べた。SFTS患者の感染地点が推定されている地域の環境条件を分析したところ、森林と開けた場所の境界である林縁が長く、温暖な場所ほど多いことが分かった。気温が高い地域のマダニは、ウイルスを運びやすい可能性があるとみる。

 林縁は、野生動物やマダニの生息域と人の活動域の接点になる。「他の区域よりもマダニの数が多いと見られます。人が活動しているので、マダニが寄り付きやすいのでは」

 マダニは種類によって付着する動物が異なるが、林縁は多様な動物が往来する。「いろいろな動物がいるということは、いろいろな種類のマダニがいてもおかしくない」

 飯島主任研究員は、登山、ハイキング、キャンプなどの野外活動を行う場合のマダニ対策として、手足を覆う服の着用や、ディート、イカリジンなどの成分を含む虫よけ剤の使用を勧める。

 また、無数の下草が生い茂るような林縁では、「土地の管理者が定期的に雑草を刈るなどしてほしい」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)

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 森林総合研究所の所在地 〒305―8687 茨城県つくば市松の里1 電話029(873)3211

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