加齢に伴い心身の能力が低下し、要介護状態の前段階である「フレイル」。医薬基盤・健康・栄養研究所(大阪府茨木市)ヘルス・メディカル微生物研究センターの渡辺大輝研究員らは、フレイルの高齢者は体格にかかわらず、そうでない高齢者に比べて健康寿命が短いことを明らかにした。 ▽障害がある生活が10年 健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間。一方、「障害生存期間」とは、介護や支援が必要な状態から死亡までを指す。全寿命から健康寿命を差し引くと、障害生存期間になる。厚生労働省の調査によると、日本人の健康寿命(2022年)は男性が72.57年、女性が75.45年。障害生存期間(同)は男性が8.49年、女性が11.63年だった。 渡辺研究員らは、体格指数(BMI)とフレイルに着目し、高齢者約1万人の障害発生(介護認定)と死亡を約5年間追跡した。この間に約23%が新たに介護認定を受け、約11%が死亡した。 ▽まずはフレイル改善 追跡開始時に対象高齢者(平均年齢73.6歳)の約40%がフレイルだった。 BMIのレベルごとに障害生存期間を算出すると、普通体重のうちBMI21.5~24.9のグループに比べ、特にBMI27.5以上の肥満グループは、障害生存期間が12.5カ月長かった。 一方、痩せの人は介護認定前に亡くなる可能性が高く、BMIが18.5未満の痩せのグループは介護認定される10.2カ月前に死亡していた。 さらに、フレイルの有無で検討した結果、BMIのレベルにかかわらず(18.5未満除く)、フレイルの高齢者は非フレイル高齢者に比べて障害生存期間が長かった。フレイルの高齢者の中では、BMIが高いほど障害生存期間が延び、27.5以上のグループでは、非フレイルのBMI21.5~24.9のグループに比べ、27.2カ月長かった。 「高齢者は肥満気味の方が長生きするとされていますが、健康寿命はそうでないことが分かりました」と渡辺研究員。健康寿命を延ばすには、フレイルの高齢者は、普通体重にすることよりも、フレイル改善を優先する必要があるという。「地域包括支援センターなどの保健指導の専門家に、個人ごとに異なるフレイルの原因や程度を評価してもらい、改善指導を受けるとよいでしょう」と話している。(メディカルトリビューン=時事) ◇ ◇ 医薬基盤・健康・栄養研究所の所在地 〒567―0085 大阪府茨木市彩都あさぎ7の6の8 電話072(641)9871