出産前後の周産期に、女性がメンタルヘルスの不調を訴えるケースは少なくなく、マタニティーブルーや産後うつなどが知られている。同様のメンタルヘルスの不調は、男性パートナーにも起こるという。信州大医学部付属病院(長野県松本市)で周産期のこころの外来を担当する村上寛医師に話を聞いた。 ▽女性と同じ発生頻度 産後うつは、出産後、数週間から数カ月にわたり、極度の悲しみや気分の落ち込み、興味や楽しみの喪失などにより、食欲が落ちたり、睡眠不足に陥ったりするケースが一般的だ。 村上医師によると、産後うつには▽社会的支援の不足▽精神疾患の既往▽死産や身近な人の死などのライフイベントの経験―の三つの要因が主に関連しているという。 「社会的支援とは、自治体の経済支援や子育てサポート体制などが該当します。精神疾患の既往は、十分な治療を受けていれば心配は要りません。死産経験などのライフイベントがあると、出産に前向きになれない、身近な人からの祝福が受けられないといったケースが考えられます」 こうした中、近年は父親も産後うつを発症するケースが国内外で報告され、研究も行われている。日本で行われた調査では、発生頻度は女性と同等だった。父親の長時間労働や睡眠時間の短さなどがリスクになるという。 「パートナーが産後うつを発症するともう一方も発症しやすいことが分かっています」と村上医師は説明する。 ▽保健師に相談を 村上医師は男性パートナーのメンタルヘルス不調の治療ニーズが高まっているのを感じ、昨年4月には父親にも門戸を開いた。外来を訪れる男性患者は増えたが、「男性の産後うつは、社会的な理解が乏しいのが課題。精神科を受診するのはハードルが高いと感じる場合は、まずは妻や妻の担当保健師に相談してほしいです」。 社会が目まぐるしく変化する中で、周産期における男女の関わり方も変わってきた。「仕事と家庭の両立に悩むのは当然のことです。一人で抱えたり我慢したりせず、何らかの支援を受けることをためらわないでほしい」。周囲の人たちに対しては、「身近にいる新米のお父さんが悩んでいるようなら、支援の手を差し伸べてあげてください」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事) ◇ ◇ 信州大医学部付属病院の所在地 〒390―8621 長野県松本市旭3の1の1 電話(0570)003010(患者専用ナビダイヤル)