学校や職場で配慮を―成人期の吃音

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 話すときに言葉がつかえる吃音(きつおん)症は、言語障害の一つで成人の約1%に見られる。社会参加の妨げになる場合、障害者差別解消法に基づき、勉学や就労で合理的な配慮が提供される。九州大病院(福岡市東区)耳鼻咽喉・頭頸部外科外来医長の菊池良和医師は「吃音で困っているなら、在籍する学校や職場、医療機関などに相談を」と呼び掛ける。

▽吃音を隠さない

 吃音症は、脳機能の発達が関係して通常幼少期に起こる。同じ音を繰り返す「連発」、音を引き伸ばす「伸発」、言葉が出にくい「難発」の三つがある。「幼児期は連発と伸発が主で、治る子も多い。成人期まで続くと難発が主に。心理的負担も大きく、話す前後の不安と落ち込みに苦しみます」

 2011~16年に九州大病院を受診した10~50代の患者100人への調査の結果、約半数が、他人から注目される場面で強い不安や恐怖を感じる社交不安症を併発していると判明した。「話す場面を避けるなど吃音を隠そうとすると、社交不安症を発症すると見ています。吃音が出てもよいので、周囲の理解を得て、適切に配慮してもらうことが大切です」

 吃音者は一見すらすらと話せていても、別の言葉に置き換えられない固有名詞の発語や音読が苦手。発表や面接試験、職場での電話や安全確保のための唱和などで困るケースが多いという。

▽困り感が変わる

 吃音が出て困る場合や、吃音症の診断書を提出し合理的配慮を得たい場合は、言語聴覚士のいる耳鼻咽喉科や、かかりつけの内科などで相談するとよい。

 菊池医師が診療したある大学生は、教員に名前を呼ばれても「はい」と言えずに欠席扱いになることも。授業での発表でたびたび沈黙するときの周囲の視線が怖かった。「能力の過小評価や不登校が心配です。まず診断書で、発話に数秒かかる場合があると教員に周知。本人が希望すれば、事前録音した音声を発表時に流すなどの配慮の検討を依頼しました」

 ある社会人は言葉に詰まるときの相手の反応が怖い。電話を受けて自分の名前も言えず、相手がいら立つと恐怖心と自己嫌悪でいっぱいに。「寛容な態度で接してもらえるとありがたいです。診断書で、電話の免除やウェブ会議でのチャット併用の検討を依頼しました」

 菊池医師は「場面によって困り感が変わるのが吃音の特徴。周囲の方は悩みを過小評価しないでほしい」と話している。(メディカルトリビューン=時事)

   ◇   ◇

 九州大病院の所在地 〒812―8582 福岡市東区馬出3の1の1 電話092(641)1151(代表)。

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