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ホーム »  ニュース »  2016年 »  循環器 »  喫煙で腹部大動脈瘤の生涯リスク上昇

喫煙で腹部大動脈瘤の生涯リスク上昇

24年間の大規模前向きコホート研究

 2016年11月17日 07:20

イメージ画像 (c)Getty Images ※画像はイメージです

 喫煙で腹部大動脈瘤(AAA)の生涯リスクが上昇する。米・University of MinnesotaのWeihong Tang氏らは、大規模前向きコホート研究のデータを解析、その結果をArterioscler Thromb Vasc Biol2016年11月10日オンライン版)に発表した。中年の現喫煙者の9人に1人がAAAを発症していたが、禁煙すれば生涯リスクは低下するとしている。

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現喫煙者と喫煙量上位3分の2で高リスク

 AAAは高齢者における重要な血管疾患だが、その生涯リスクに関するデータは乏しい。今回Tang氏らは、24年間(中央値22.5年)長期追跡を行った大規模前向きコホート研究Atherosclerosis Risk in Communities(ARIC)studyのデータを用いて、AAAの生涯リスクを解析した。

 解析対象は、同studyの第1回訪問時(1987~89年)に登録された45歳以上の1万5,703例(平均年齢54.2歳)。2011年までの追跡期間中(中央値22.5年)に確認された症候性AAAは590例で、粗発症率は1.90・1,000人年(95%CI 1.75~2.06)であった。また、2011~13年に生存していた5,778例に腹部超音波検査を実施した結果、75例の無症候性AAAが検出された。

 ARIC study全体におけるAAA発症の生涯リスク(45歳~最高85歳で算出)は5.6%(95%CI 4.8~6.1)であった。生涯リスクが高かったのは、現喫煙者(10.5%)、喫煙量(pack-year)が上位3分の2に入る喫煙者〔三分位の中間群(9.0%)および最高群(11.1%)〕、男性(8.2%)、白人(6.5%)であった。

 症候性AAAに限定したサブグループの解析では、AAA破裂または医学的介入の粗発生率は0.58・1,000人・年(95%CI 0.50~0.67)、生涯リスクは1.6%(同1.2~1.8)であった。

禁煙者は継続者より生涯リスク29%低下

 喫煙状況の変化について検討したところ、第1回訪問(1987~89年)から第4回訪問(1996~98年)の間に(第1回訪問後に少なくとも3~8年間)禁煙した人(最近の禁煙者)は、喫煙継続者に比べてAAA生涯リスクが29%低かった。しかし、最近の禁煙者のAAA生涯リスク(6.6%)は、第1回訪問の前からの長期禁煙者(4.1%)および非喫煙者(1.4%)よりは高かった。また最近の禁煙者は非喫煙者と比べて、その後15年間の症候性AAAのリスクが3.5倍、無症候性AAAのリスクが2.66倍高かった。

 その他の危険因子の検討では、現在または過去の喫煙、白人、男性、高身長、LDLコレステロール高値または総コレステロール高値が症候性および無症候性AAAのリスク上昇と有意に関連していた(P<0.0001~0.05)。

女性喫煙者にも超音波検診を実施すべき

 今回の解析結果では、女性の現喫煙者のAAA生涯リスク(8.2%)は男性の過去の喫煙者(8.1%)と同等で、男性の非喫煙者(3.9%)より高かった。しかし、米国予防医学専門委員会(USPSTF)は、現在または過去の男性喫煙者に対してはAAAの超音波スクリーニングを65~75歳の間に1回受けるよう推奨しているが、女性に対してはエビデンス不足を理由にそのような推奨を行っていない。Tang氏は「これは医師および医療政策立案者が注意すべき重要なデータだ」と指摘。「女性の現喫煙者に対しても、中年を過ぎれば男性喫煙者と同等の注意を払う必要があるかもしれない。もちろん、喫煙者における最善のAAA予防方法は禁煙だ」と述べている。

 なお、研究の限界として、脱落例に未確認のAAAが含まれていた可能性や、生涯リスクを85歳までのリスクとして算出していることから、AAAの発症率および生涯リスクが過小評価された可能性があることを指摘している。

(太田敦子)

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