2型糖尿病で高頻度に合併する代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)とメタボリックシンドローム(MetS)。両者の疾患概念は、インスリン抵抗性を有しさまざまな臓器と相互連関を持つ点で類似し、いずれも主要な死因が心血管疾患(CVD)である。他方、2型糖尿病患者においてMetSのCVD発症予測能が低いことは報告されているものの(Diabetes Care 2005; 28: 1463-1471)、MASLDに関する検討は十分でない。新潟大学医歯学総合病院内分泌・代謝内科の松林泰弘氏は第40回日本糖尿病合併症学会(11月14~15日)で、全国健康保険協会(協会けんぽ)の医療保険請求データを用いて行った研究2件の結果を紹介。MASLDの合併およびMASLDの寛解がCVD発症に及ぼす影響について解説した。(関連記事「チルゼパチド、MASLD治療でも期待」「SGLT2 vs. SU薬、MASLD合併例への効果は?」「GLP-1はMASLDの予後改善に有用」)