TAVI弁展開後の「frozen leaflet」で死亡例も、専門機関が注意喚起

重度の急性大動脈弁閉鎖不全を発症

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 経カテーテル的心臓弁治療関連学会協議会は12月10日、経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)において「frozen leaflet(stuck leaflet)」と呼ばれる弁展開直後あるいは追加手技後に弁尖の一部または複数が可動不良となり、重度の急性大動脈弁閉鎖不全を呈する事象が報告されているとして、医療安全情報ステートメントを発出。TAVI弁展開後における弁尖可動不良に対し注意を喚起した。2年間で25例に発生し、うち3例が死亡している。(関連記事「TAVI用生体弁使用で重篤な有害事象」)

適切な対応が行える体制の整備を

 TAVI弁展開後のfrozen leafletはまれであるため、診断に至りにくい。また、frozen leaflet発生時には重度の急性大動脈閉鎖不全が生じ、血行動態が急速に悪化することから、死亡例も報告されている。

 報告された事例(エドワーズ社のサピエン弁)は以下の通り。

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【発生概要】
 対象機種:SAPIEN 3 Ultra RESILIA
 集計期間:2023年3月〜25年2月
 症例数:25例
 発生頻度:約0.1%
患者背景
 平均年齢:83.0歳
 男性4例(16.0%)、女性21例(84.0%)
デバイスサイズ
 20mm:6例(24.0%)
 23mm:15例(60.0%)
 26mm:3例(12.0%)
 29mm:1例(4.0%)
発症のタイミング
 留置直後:4例(16.0%)
 Post balloon後:21例(84.0%)
その後
 TAV-in-TAV:25例(100%)
  └ 左冠動脈プロテクション併用:2例
 開胸手術移行:2例(8.0%)
  └ いずれもCABGを施行
 ECMO使用:3例(12.0%)
 死亡例:3例(12.0%)
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 体外式膜型人工肺(ECMO)を要した3例中2例が死亡した。また、追加治療として施行されたTAV-in-TAVにより冠動脈閉塞を来し死亡に至った例が報告された。

 同会は、各ハートチームに対し以下の留意点を示すとともに、適切な対応が行える体制の整備を求めている。

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1. 発生要因:未解明だが、サピエン弁においては84%がpost balloon後に発生しており、関連が示唆されている
2. 診断の難しさ:TAVI弁留置後の血行動態不安定化や重度逆流を認めた際には、frozen leafletを鑑別に含める必要がある
3. 治療選択肢:TAV-in-TAVが第一選択となるが、冠動脈閉塞リスクを伴うため、冠動脈プロテクションの 併用を検討する
4. 緊急手術:速やかな開胸移行は重要な救命手段の1つであり、外科チームによる緊急手術体制の整備を行う
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(編集部・比企野綾子)

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