2025年12月5~7日、東京国際フォーラムで第64回日本網膜硝子体学会が開催された。企業展示では、臨床現場の課題解決を見据えた「人工知能(AI)活用」と「患者中心の取り組み」が一段と進化している様子がうかがえた。 診療の質と負担軽減を両立する技術革新 近年、眼科領域に限らず臨床現場では「医師の負担軽減」と「患者のストレス低減」の両立が求められている。技術の高度化が進む中、いかにして患者に優しい診療体験を提供できるか。各社は、その答えを最新技術による効率化とAIに見いだしていた。 特に目立ったのが、検査・処置時間の短縮を目指した製品である。トーメーコーポレーションの光学式眼軸長測定装置OA-2000は、オートアライメントによる直感的な操作でスムーズな測定を可能にする。自動追尾機能で再調整の手間が減り、小児でも測定が安定しやすいという。オート測定が難しい患者ではマニュアル操作に切り替え、固視状態をリアルタイムに確認しながらの測定も可能となる。 一方、AIによる診断の平準化に向けた取り組みも見られた。千寿製薬が紹介したドライアイ分類ソフトは、検査液を用いずに涙液状態を評価し、AIが3つのサブタイプ(涙液減少型、水漏れ性低下型、蒸発亢進型)に自動分類する。これにより、経験差による判定のぶれを抑え、若手医師でも一定の診断精度を確保しやすくなるという。 (第64回日本網膜硝子体学会取材班)