山口県の長門総合病院に勤務していた50代の産婦人科医の男性が自殺したのは長時間労働が原因で、病院側の安全配慮義務違反があったとして、遺族が損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が24日、大阪高裁であった。長谷部幸弥裁判長は請求を棄却した一審判決を変更し、病院側に計約1億5000万円の賠償を命じた。 判決などによると、男性は同病院で産婦人科部長として勤務していた2009年、うつ病を発症し自殺。長時間労働が原因だったとして19年に労災が認定された。 一審神戸地裁は出退勤記録などの客観的証拠がある勤務のみ時間外労働と認めた上で、「業務が過重だったとは言えない」として病院側の注意義務違反を否定していた。 長谷部裁判長は同僚らの証言から、記録がなくても時間外労働と認定。男性は08年10月、めまいなどの症状を訴えて計10日間入院したが、翌11月上旬からの1カ月間で約80時間の時間外労働があったと指摘した。その上で「心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を怠った」として病院側の責任を認めた。 判決後に記者会見した男性の妻は「(判決が)安心安全な医療体制の確保につながると信じています」と話した。 (2025年12月24日 時事メディカル)