厚生労働省は、1月29日に開催した薬事審議会医薬品第二部会で①モキシフロキサシン塩酸塩(商品名アベロックス錠400mg):多剤耐性肺結核、②ゲムシタビン塩酸塩(ゲムシタビン点滴静注用200mg「ヤクルト」他):局所進行上咽頭がんにおける化学放射線療法の導入療法、③フルダラビンリン酸エステル(フルダラ静注用50mg):同種造血幹細胞移植の前治療-の公知申請に関する事前評価を実施。公知申請を行っても差し支えないとして、同日付で保険局医療課長通知(保医発0129第1号)を発出し、関係各所に周知した(関連記事「アネメトロ、公知申請で小児感染症への適応追加」)。 モキシフロキサシン:企業見解の妥当性に鑑み判断 モキシフロキサシン塩酸塩錠の現行の効能・効果は、以下の通り。 ●適応菌種:モキシフロキサシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、クレブシエラ属、エンテロバクター属、プロテウス属、インフルエンザ菌、レジオネラ・ニューモフィラ、アクネ菌、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ) ●適応症:表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、副鼻腔炎 今回、日本結核・非結核性抗酸菌症学会が「適応菌種:モキシフロキサシン塩酸塩に感性の多剤耐性結核菌(MDR-TB)、適応症:多剤耐性肺結核[イソニコチン酸ヒドラジドとリファンピシンに耐性の結核菌を本剤の適応症とする]」の追加承認を申請。 公知申請の妥当性について、昨年(2025年)5月9日に開催された第63回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議で検討。製造販売元のバイエル薬品が提出した企業見解で示された有効性と安全性は妥当であり、医療上の必要性の基準に該当すると判断された。 今回の公知申請により、「適応菌種:モキシフロキサシンに感性の結核菌、適応症:多剤耐性肺結核」が追加された。 ゲムシタビン:企業見解と日本頭頸部癌学会の使用実態調査を基に判断 ゲムシタビン塩酸塩の現行の効能・効果は、非小細胞肺がん、膵がん、胆道がん、尿路上皮がん、手術不能または再発乳がん、がん化学療法後に増悪した卵巣がん、再発または難治性の悪性リンパ腫。 今回、日本頭頸部癌学会が「効能・効果:上咽頭がん(局所進行上咽頭がんに対する根治治療前後の補助化学療法、および再発または転移を有する上咽頭がんに対する化学療法)」の追加承認を申請。 公知申請の妥当性について、2024年7月5日に開催された第59回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議で検討。製造販売元の高田製薬が提出した企業見解で示された有効性と安全性に加え、同学会が実施した国内使用実態調査で示された有効性などに基づき、医療上の必要性の基準に該当すると判断された。 今回の公知申請により、以下の効能・効果、用法・用量が追加された。 ●効能・効果:①局所進行上咽頭がんにおける化学放射線療法の導入療法、②再発または遠隔転移を有する上咽頭がん ●用法・用量:①、②とも単独投与する場合は、通常、成人にはゲムシタビンとして1回1,000mg/m2を30分かけて点滴静注し、週1回投与を3週連続し、4週目は休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。白金系抗悪性腫瘍剤と併用する場合は、通常、成人にはゲムシタビンとして1回1,000mg/m2を30分かけて点滴静注し、週1回投与を2週連続し、3週目は休薬を1コースとすることもできる。なお、患者の状態により適宜減量する。ただし、局所進行上咽頭がんに対して白金系抗悪性腫瘍剤と本剤を併用する場合は、投与回数は3回までとする ①の用法・用量に関する注意として「本剤単独投与の有効性及び安全性は確立しておらず、シスプラチンと併用すること」が追記された。 フルダラビン:同種造血幹細胞移植の前治療における対象疾患の縛りを解除 フルダラビンリン酸エステルの現行の効能・効果は、以下の通り。 ①貧血または血小板減少症を伴う慢性リンパ性白血病 ②再発または難治性の下記疾患 低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫 マントル細胞リンパ腫 急性骨髄性白血病 ③下記疾患における同種造血幹細胞移植の前治療 急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫 ④腫瘍特異的T細胞輸注療法の前処置 今回、日本造血・免疫細胞療法学会が③における疾患名を削除し、対象疾患の縛りを解除することを申請。 公知申請の妥当性について、昨年3月14日に開催された第62回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議で検討。製造販売元のサノフィが提出した企業見解で示された有効性と安全性に鑑み、既承認の疾患以外に対しても同種造血幹細胞移植の前治療としての臨床的有用性は公知であると判断された。 今回の公知申請により、効能・効果③が「同種造血幹細胞移植の前治療」に改訂された。用法・用量に変更はないが、注意として「本剤と併用する他の抗悪性腫瘍剤等は、国内外の最新のガイドライン等を参考にした上で、選択すること」が追記された。 詳細は、厚労省の「保医発0129第1号」を参照されたい。 (編集部・関根雄人)