厚生労働省は2月10日付で医薬局医薬安全対策課長通知(医薬安発0210第1号)を発出、添付文書の「使用上の注意」の改訂を指示した。①急性白血病・悪性リンパ腫治療薬のシタラビン(商品名キロサイド注他)および抗白血病・抗悪性腫瘍抗生物質製剤のダウノルビシン塩酸塩(ダウノマイシン静注用)は「副作用」の「重大な副作用」の項に「腫瘍崩壊症候群」を新設、②抗ウイルス薬のアシクロビルの経口薬(ゾビラックス顆粒40%他)および注射薬(同点滴静注用250他)、バラシクロビル塩酸塩(バルトレックス顆粒50%他)は「重大な副作用」の項に「急性汎発性発疹性膿疱症」を追加、③可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬のリオシグアト(アデムパス錠)、抗新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)薬のエンシトレルビルフマル酸(ゾコーバ錠)、早老症治療薬のロナファルニブ(ゾキンヴィカプセル)は「併用禁忌」から「併用注意」に変更-などの改訂を指示している。(関連記事「アスピリン、重大な副作用に急性冠症候群を追加」) シタラビン、ダウノルビシン:因果関係が否定できない死亡例が1例 シタラビンとダウノルビシンについては、腫瘍崩壊症候群症例を評価した。その結果、国内症例がそれぞれ7例(うち医薬品との因果関係が否定できない症例4例)、10例(同4例)の集積が確認された。 さらに、ダウノルビシンで因果関係が否定できない死亡例が1例報告されたことから、専門委員の意見も踏まえて改訂が適切と判断。「副作用」の「重要な基本的注意」の項に腫瘍崩壊症候群に関する注意を追記し、「重大な副作用」の項に「腫瘍崩壊症候群」を新設するよう指示した。 アキシチニブ:因果関係が否定できない急性膵炎症例が国内外で集積 キナーゼ阻害薬アキシチニブ(商品名インライタ錠)については、急性膵炎関連症例を評価した。その結果、国内症例4例(うち医薬品との因果関係が否定できない症例1例)、海外症例17例(同3例うち1例は適応外使用)の集積が確認された。 国内外とも死亡例は確認されなかったものの、専門委員の意見も踏まえて改訂が適切と判断。「重大な副作用」の項に「急性膵炎」を新設することが適切と判断した。 イブルチニブ:因果関係が否定できない海外症例が9例集積 ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬イブルチニブ(商品名イムブルビカカプセル)については、ぶどう膜炎関連症例を評価したところ、国内症例の報告はなかったが、海外症例が14例(うち医薬品との因果関係が否定できない症例9例)集積。 死亡例はなかったものの、因果関係評価および専門委員の意見も踏まえて「副作用」の「重要な基本的注意」の項にぶどう膜炎に関する注意を追記し、「重大な副作用」の項に「ぶどう膜炎」を新設するよう指示した。 フルキンチニブ:因果関係が否定できない国内症例が3例集積 キナーゼ阻害薬フルキンチニブ(商品名フリュザクラカプセル)については、ネフローゼ症候群症例を評価した。その結果、国内症例が11例(うち医薬品との因果関係が否定できない症例3例)集積。 死亡例はなかったものの、因果関係評価および専門委員の意見も踏まえて「重要な基本的注意」の項にネフローゼ症候群に関する注意を追記し、「重大な副作用」の項に「ネフローゼ症候群」を新設するよう指示した。 アシクロビル、バラシクロビル:因果関係が否定できない症例が国内外で集積 アシクロビルの経口薬および注射薬、バラシクロビルについては、急性汎発性発疹性膿疱症症例を評価したところ、国内症例がバラシクロビルでのみ3例(うち医薬品との因果関係が否定できない症例2例)、海外症例はアシクロビルで2例(同2例)、バラシクロビルで1例(同1例)が確認された。 いずれも因果関係が否定できない症例が集積したことから、専門委員の意見なども踏まえて「重大な副作用」の項に「急性汎発性発疹性膿疱症」を追加するよう指示した。 リオシグアト:エンシトレルビル、ロナファルニブとの併用を「注意」に リオシグアトについては、エンシトレルビル、ロナファルニブは強力なシトクロムP450(CYP)3A阻害作用を有することから、承認時に他の強いCYP3A阻害薬を参考として両剤との併用は禁忌とされていた。 しかし、バイエル薬品が医薬品医療機器総合機構(PMDA)に対し、「リオシグアトは主にCYP1A1で代謝されることから、エンシトレルビルとの併用禁忌は適切でなく併用注意としたい」旨を相談。PMDAがリオシグアトとの併用が禁忌とされているエンシトレルビル、イトラコナゾール、ボリコナゾール、ロナファルニブについて調査を行った。 昨年(2025年)4月25日に開催された薬事審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会における審議の結果、イトラコナゾールとボリコナゾールは条件付きで併用禁忌が解除され併用注意となったが、エンシトレルビルとロナファルニブについては継続審議となっていた。 今回、同社が両薬のCYP1A1に対する阻害作用を確認するためのin vitro試験結果を提出。あらためて併用禁忌の見直しに係る調査を行い、相互作用、安全性、ガイドラインにおける記載、海外添付文書の記載状況などを検討した結果、リオシグアトとエンシトレルビルまたはロナファルニブの併用を可能として差し支えないと判断。「併用禁忌」から「併用注意」に改訂するよう指示した。 詳細は、厚労省の「医薬安発0210第1号」を参照されたい。 (編集部・関根雄人)