マイクロバイオーム研究に基づく消化器疾患の診断と治療
統合プログラム4(W)(JDDW・日本消化器病学会・日本消化器内視鏡学会・日本肝臓学会・日本消化器外科学会・日本消化器がん検診学会)
10月31日(金) 14:00〜17:00 第6会場(神戸ポートピアホテル南館 大輪田B)
横山 幸浩 氏
名古屋大大学院・腫瘍外科学教室
吉村 清 氏
昭和医大臨床薬理研究所・臨床免疫腫瘍学
栃尾 巧 氏
藤田医大・医科プレ・プロバイオティクス共同研究講座
本告 正明 氏
大阪急性期・総合医療センター・消化器外科
河野 寛 氏
山梨大・1外科
田島 康平 氏
東海大・消化器外科
内田 洋一朗 氏
京都大・肝胆膵・移植外科
下釜 翼 氏
関西医大・3内科
大槻 晋士 氏
滋賀医大附属病院・消化器内科
新居田 一貴 氏
愛媛大大学院・先進消化器内視鏡開発学
五十嵐 崇徳 氏
新潟大・消化器内科
藤井 匡 氏
藤田医大・消化器内科
Ting Wang 氏
Iwate Medical University
Rongshuang Han 氏
The Affiliated Hospital of Qingdao University
木田 明彦 氏
金沢大附属病院・消化器内科



近年、ヒトの腸内細菌叢、いわゆるマイクロバイオームが消化器疾患をはじめ多様な疾患に深く関わることが明らかになってきた。ストレス防御機構である視床下部-下垂体-副腎軸(HPA軸)、免疫系、さらには腫瘍性疾患への影響も示され、研究領域は大きく広がっている。治療の観点からも、プロバイオティクスやプレバイオティクス、シンバイオティクスの応用が進み、成果が報告されつつある。
司会の横山幸浩氏は「消化器疾患はマイクロバイオームとの関連が最も直接的といえる。消化器関連の学会であるJDDWで議論することにこそ、大きな意義がある」と話す。
基礎から臨床まで幅広い演題構成
マイクロバイオーム研究は、遺伝子解析技術の進歩によって飛躍的に発展したが、一方で臨床研究は人的資源の不足や手続きの煩雑さが障壁となり、基礎研究に比べ進展が遅いという現状がある。今後の展開が期待される中、本セッションでは全12演題が用意され、外科や内科といった多岐にわたる領域に加え、食道がん、膵疾患、肝疾患など幅広い疾患を取り上げており、臨床研究の発表も充実している。構成は、基礎研究2題、トランスレーショナル・リサーチ5題、そして臨床研究5題とバランスが取れたものとなっている。
まず、基礎研究の演題では、Ting Wang氏がPorphyromonas gingivalisによる腫瘍形成促進のメカニズムを解説し、Rongshuang Han氏がアルギン酸による腎・腸管機能の改善について報告する。
トランスレーショナル・リサーチとしては、下釜翼氏による胃粘膜細菌叢を利用した胃がんの予後予測や、大槻晋士氏による潰瘍性大腸炎とバクテリオファージの関連性、さらに新居田一貴氏からは代謝機能障害関連脂肪性肝疾患における小腸細菌叢の特徴が示される。また、藤井匡氏は免疫チェックポイント阻害薬ノンレスポンダーにおけるBacteroides stercorisの解析結果、木田明彦氏はB型肝炎ウイルス(HBV)感染者の腸内細菌叢がHBV特異的T細胞免疫応答に与える影響について、それぞれ発表する。
臨床研究では、本告正明氏による食道がん・胃がん例に対する集学的治療としての腸内環境維持に関する報告をはじめ、河野寛氏が膵手術後における漢方薬の有用性、田島康平氏が消化器がん診断・治療におけるマイクロバイオームの役割、内田洋一朗氏が肝移植例に対する腸内環境改善の効果をそれぞれ示し、五十嵐崇徳氏はクローン病患者における小腸内細菌異常増殖症研究の現状について報告する。
このように、臨床医だけでなく、基礎・トランスレーショナル研究者にも聴講を促すため、バランスの取れた演題が設けられている。横山氏はその狙いについて、「研究分野の垣根を越え、互いの成果を知ることで、マイクロバイオーム研究の全体像を深く理解できる。臨床医にとっては視野を広げる機会になるだろう」と述べる。
マイクロバイオーム研究では、今後も新たな知見が続々と生まれると予想される。横山氏は「この分野は深淵であり、ヒトの健康の根幹に関わる。ぜひ本セッションに参加いただき、消化器疾患との関連に関心を持ち、日常診療の参考としてほしい」と呼びかけている。

第68回日本消化器病学会大会
[会長]海野 倫明
東北大学大学院 消化器外科学
第112回日本消化器内視鏡学会総会
[会長]石原 立
大阪国際がんセンター 消化管内科
第30回日本肝臓学会大会
[会長]波多野 悦朗
京都大学大学院 肝胆膵・移植外科
第24回日本消化器外科学会大会
[会長]上野 秀樹
防衛医科大学校 外科
第64回日本消化器がん検診学会大会
[会長]三上 達也
弘前大学大学院 先制医療学
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