【在宅活動】私の在宅訪問活動記 初めての看取り
突然やってきた最期のとき
看取るときのことはいつも想像していました。在宅医療のチームのメンバーに教えていただいたり、医師から「機会があれば看取りの場に同行してもらう、薬剤師もそういう場を体験するべきだ」と言われたりしていました。
とは言っても、なかなか機会はなく、医師が夜中に訪問して看取ったことを翌朝メールで知らされたり、患者さんのご家族からのメールで知ったり、最期の瞬間に立ち会うことは難しいと思っていました。
しかし、それは突然やってきて...。
家族の心情を考えて薬を調整
亡くなる前日、主治医から「DIC(disseminated intravascular coagulation:播種性血管内凝固症候群)で、明日が山」と言われ、翌日以降の薬を出すべきかどうか検討した方でした。
まだ内服もできている40代の患者さん。薬をすべて止めるのは家族が耐えられないかもしれない。家族の心情を考慮して、輸液を3日分だけ持参することになりました。翌日、輸液を持ってお宅へ伺ったそのときでした。
家族の絶叫のなか、静かに息を引き取りました。ろうそくの炎が消えていくようでした。私はなぜだかとても冷静で、急いで来た訪問看護師さんがルートや針の処理をしているのを傍らで見ていました。しかし、薬局に戻る道でばったり会った知り合いの看護師の顔を見た途端、「さっき、目の前で...」と泣いてしまいました。
本当に貴重な体験だったと思います。命と向き合う仕事をしているのだと。患者さんが望む場所で、大好きな人に囲まれて最期を迎える、そのお手伝いができるのだと。
この患者さんは予後1週間と言われて自宅に戻り、初回訪問時はぐったりした様子でお話もできませんでした。
CVポートを増設して輸液のレシピをチームで検討したことで、お話ししたり、アイスを食べたりできるようになりました。ほんの一瞬でしたが、笑顔をみることもできました。
ご家族が、「この20日間はおまけや。一緒に暮らせた。本当にありがとうございました」と言ってくれてほっとしました。
医師も、看護師も、皆悩んでいる
容態が不安定な方も安定している方も担当していますが、どの患者さんに対しても、明日はどうなっているだろう、次の処方はどうしよう、と考えます。同じ病名でも同じようにはいかないので、毎回悩みます。でも、患者さんの言葉や様子に助けられ、思い出を重ねていくことで、次に進む勇気が湧いてきます。
在宅活動を始めた頃は、1人さよならするたびに落ちこんでいました。チームのメンバーから「さあ、まだまだあなたを必要としている人が待っているのだから」と言われ、なんとか気持ちを切り替えてきました。ベテランの医師も、看護師も、皆、自分のしていることが間違っていないだろうか、これが患者さんの望んでいることなのだろうかと、悩んでいるのを知りました。
怖くなることもあります。でも、目の前の患者さんがいつも教えてくれる、と信じて在宅活動に取り組んでいます。
[PharmaTribune 2014年5月号掲載]
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