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特集「疑義照会を考える」

多様な疑義を一緒くたに語るな!

【総括座談会】必要なのは、変えていく力だ! その1

 2017年06月09日 08:00
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「みんなのためになる疑義照会を考えよう」企画最終回。

今後の疑義照会の在り方をめぐる激論の模様をレポートする。異色のメンバーによる座談会では、疑義照会の多様性、医師や患者の無理解、行政に無駄な疑義照会を強いられている側面、調剤報酬優先の薬局経営とそこで働く薬剤師の苦衷など、疑義照会の"難しさ"が語られた。その一方で、疑義照会簡素化プロトコルの有用性、地域での事後的処方カンファレンスの可能性、さらには疑義照会で地域医療の質を上げる試みなど明るい展望も示された。

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多様な疑義を一緒くたに語るな

亀井 30 年ほど前は医薬分業が強力に推進された時期でしたが、私はそのころから大学で処方箋確認業務いわゆる疑義照会の実態調査に携わってきました。その調査を最初に行ったときに、医師に照会する内容には「字が読めない」「記入漏れ」といった形式上の不備に関するもの「重複投与」「相互作用」などの臨床的な問題、さらには患者の要望を医師に伝えるための照会があることを知りました。

一言で"疑義照会"と呼んでいますが、処方医に確認する内容は、非常に幅が広く、処方箋上の疑わしい点だけではないことに気付いたのです。PharmaTribune(以下、PT)誌のアンケートで疑義照会に対する認識に差があったのも、「疑義」自体の捉え方がまちまちだからではないでしょうか。まず、先生方それぞれの立場から、疑義照会について意見をうかがいたいと思います。

高橋 日本に多い単独医療機関と門前薬局とのマンツーマンの組み合わせでは、医師と薬剤師はよくも悪くも密に連絡が取れているようです。ところが、処方箋が違う薬局に行き、普段話をしない薬剤師から連絡が入ると、とたんに身構える医師が多い。医師も薬剤師も顔の見えない人と話すことに抵抗があるのでしょう。

亀井 疑義照会がストレスになっているという話はよく聞きます。一方で、うまくいっているところもある。顔の見える関係かどうかが、鍵を握っているのでしょうか。

高橋 医師にとっては、診療が終了した後で思ってもみないことを言われたりするわけで、抵抗感はあって当然です。ただ、今後の地域完結型医療では多職種間の意思疎通が必須です。種々の職種が連携し患者を含めた大きな枠組みで良い医療をつくっていかなければなりませんから、マンツーマン型ではないコミュニケーションに慣れる必要があります。

無駄な疑義照会をさせる行政には文句を言おう

亀井 岩田先生は疑義照会を受ける立場ですが、どんなことを感じていますか。

岩田 疑義照会ってコミュニケーションの形としては最悪だと思います。よく知らない人からいきなり電話がかかってくるのですから。しかも、「それでいいです」の一言で済む問い合わせが大半です。あるいは、「湿布を貼るのは、右の膝ですか左ですか」とか。そんな電話は嫌ですね。薬剤師だってそんな照会はしたくないはずです。でも、近畿厚生局がやれと言うらしい。そんなバカな話があるかと思うのですが。私は米国で臨床を5年間やりましたが、薬剤師からの電話は一度もない。FAXで照会が来ることはありましたが。

PT編集部ーー薬剤師からは、「自分たちもやりたくないけど、やらざるをえないんだ。そこのところを医師や患者にも理解してほしい」という声があります。

岩田 だから、私たちはもっと文句を言うべきです。私は、近畿厚生局に電話をかけますし手紙も書きます。それで感染防止対策加算1)は是正されました。彼らは正しいと思ってやっていますが、現場を知らない。これは不合理だと、現場の声を行政に届けないといけません

1) 感染防止対策加算:院内や地域連携における感染対策の取り組みを評価するために設けられた。2016年の改定では、加算対象となる施設基準に感染制御チームによる院内巡回が加わり、同年3月31日付けの疑義解釈で、チーム全員で各病棟を1週間に1回程度、毎回巡回し、病棟以外の全部署を毎月巡回することと示された。これに対して岩田氏は、「合理性を欠いている」として厚労省に要望書を提出。同年4月25日付けの疑義解釈で、巡回の人数や頻度が緩和された。巡回は少なくとも2名以上で行い、リスクが高い病棟は週1回程度、それ以外の病棟は毎月、患者に侵襲的な手術・検査をしている部署は2カ月に1回以上を巡回することとされた。

亀井 薬剤師は、行政指導を気にしすぎる傾向があるのでしょうか。

高橋 多くの薬剤師はサラリーマンになっているので、お上の言うことに反論はできないという意識なのでしょう。薬剤師会と厚労省の議論を聞いていても、厚労省に物言いを付けるというより、"忖度"していますね。医師ならば「何で文句を言わないの」と思うでしょうが。医師会>厚労省>薬剤師会という上下関係が存在していると感じます。

ただ、それとは別に、医師と薬剤師はそれぞれプロとして仕事をしているわけですから、「よく知らない薬剤師だから対応しづらい」ではなく、互いに事実にどう対応すべきか考えていただきたい。相手やコミュニケーションによって対応が変わるというのはナンセンスです。

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