"HDL-C上昇薬"の悲劇と不可解
CETP阻害薬evacetrapib のACCELERATE試験から
研究の背景:先行2剤の2試験では心血管疾患を予防できず
今年(2017年)、PCSK9阻害薬エボロクマブ投与により、LDL-Cが中央値30mg/dLにまで低下して、有害事象を増やすことなく、心血管イベントが有意に抑制されたというFOURIER試験が報告された(N Engl J Med 2017;376:1713-1722、関連記事「PCSK9阻害薬で初、心血管イベント抑制」)。2015年のエゼチミブによるIMPROVE-IT試験(N Engl J Med 2015;372:2387-2397)により再確立されたThe Lower, The Better(コレステロールは低ければ低いほどよい)という概念(N Engl J Med 2015;372:2448-2450)が再確認されたのである。
しかし今回、この概念を再び揺り動かす臨床試験結果が報告された。それがACCELERATE試験である(N Engl J Med 2017;376:1933-1942)。同試験はコレステロールエステル転送蛋白(CETP)阻害薬evacetrapibを用いた第Ⅲ相臨床試験である。
CETPはHDL中のコレステロールを引き抜いてVLDLやLDL中の中性脂肪と交換させてしまう蛋白であり、これを阻害することでHDL-C濃度を高く保ち、LDL-C濃度を低くすることができるものと期待される。そのため、CETP阻害薬は"HDL-C上昇薬"と俗称されることもある。
既報のCETP阻害薬の臨床試験の結果として、torcetrapibとdalcetrapibに関するものが存在する。torcetrapibは確かにHDL-Cを70%上昇させ、LDL-Cを25%低下させたが、心血管疾患や死亡率を上昇させてしまった(ILLUMINATE試験:N Engl J Med 2007;357:2109-2122)。その背景として、torcetrapib群で血圧やアルドステロン濃度が上昇していたことがあると考えられている。また、dalcetrapibも心血管疾患を予防しなかったが、dalcetrapib群ではHDL-Cは上昇してはいたもののLDL-Cの低下が得られていなかったのである(dal-OUTCOMES試験:N Engl J Med 2012;367:2089-2099)。
Evacetrapibこそは、HDL-Cを上昇させ、LDL-Cを低下させ、血圧を上昇させないので(JAMA 2011;306:2099-2109)、心血管イベントを低下させてくれるだろうと思われていただけに、ショックを受けた先生もおられるかもしれない。私自身も今抱いている混乱を隠さずにお伝えしたい。
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