喘息に4剤目の抗体医薬、どう使い分ける?

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研究の背景:現状、使い分けにコンセンサスはない

 デュピルマブ(商品名デュピクセント)はインターロイキン(IL)-4受容体αサブユニットに特異的に結合し、IL-4およびIL-13のシグナル伝達を阻害するヒト型抗ヒトIL-4/IL-13受容体モノクローナル抗体である。今年(2018年)1月にアトピー性皮膚炎に対して製造販売が承認されたが、販売元のサノフィは4月に喘息に対する追加適応を申請している。これは、今回紹介する2 件の臨床第Ⅲ相ランダム化比較試験(RCT)、LIBERTY ASTHMA QUEST研究(N Engl J Med 2018年5月21日オンライン版)とLIBERTY ASTHMA VENTURE研究(N Engl J Med 2018年5月21日オンライン版)の結果を受けてのことである。

 喘息に対して用いられる抗体医薬品は、もともと抗IgEモノクローナル抗体であるオマリズマブ(商品名ゾレア)の独壇場だった。そこに、好酸球カスケードを抑制するIL関連の抗体医薬品が次々と登場した。今年5月時点で保険適用されているのは、オマリズマブ以外に、メポリズマブ(同ヌーカラ)、ベンラリズマブ(同ファセンラ)があり、計3剤である。そこに4剤目として新たに加わったのがデュピルマブである()。

表. 喘息に対する抗体医薬品(デュピルマブは追加保険適用申請中)

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(倉原優氏作成)

 現状、使い分けにコンセンサスはないが、日本アレルギー学会が昨年10月にベンラリズマブの早期認可要望書を提出したこともあって、同薬の追い上げが強い印象がある。抗体医薬の使い分けについてはデュピルマブの論文を紹介した後、「私の考察」で述べたいと思う。

倉原 優 (くらはら ゆう)

国立病院機構近畿中央胸部疾患センター内科医師。2006年、滋賀医科大学卒業。洛和会音羽病院での初期研修を修了後、2008年より現職。日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本感染症学会感染症専門医、インフェクションコントロールドクター、音楽療法士。自身のブログで論文の和訳やエッセイを執筆(ブログ「呼吸器内科医」)。著書に『呼吸器の薬の考え方、使い方』、『COPDの教科書』『気管支喘息バイブル』、『ねころんで読める呼吸』シリーズ、『本当にあった医学論文』シリーズ、『ポケット呼吸器診療』(毎年改訂)など。

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