吸入ステロイド離脱のガイドライン
COPDにおける推奨を欧州呼吸器学会が発表
ガイドラインの背景:COPDに対するトリプル吸入療法が普及
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療に関する国際的ガイドラインであるGOLDでは、COPD増悪歴が多い症例や末梢血好酸球数が多いCOPD症例に対して、吸入ステロイド薬(ICS)の使用が推奨されている(表1)。
表1. ICS治療を開始する際に考慮すべき因子

(GOLDガイドライン2020より)
吸入長時間作用性β2刺激薬(LABA)単剤を用いられている場合、ICS/LABA配合剤を処方することがあるが、LABA単剤でコントロールされているCOPD患者はこの数年減少しており、基本的には長時間作用性抗コリン薬(LAMA)単剤あるいはLAMA/LABA配合剤を処方されている人が多い。LAMA単剤を用いられている場合、ICS/LAMA配合剤がないため、あえてICSとLAMAを単剤で別々に処方することは多くなく、基本的に「COPDに対してICS追加」と書く場合、LAMA/LABAにICSを加えて、LAMA/LABA/ICSのトリプル吸入製剤を指すことが一般的である。
執筆時点において、日本で用いられているLABA、LAMA、LAMA/LABA、LAMA/LABA/ICSを表2に示す。フルティフォームや、アドエア、レルベアの一部など、COPDに保険適用されない製剤がある点には注意が必要である。
表2.日本で用いられているLABA、LAMA、LAMA/LABA、LAMA/LABA/ICS(COPDに適応のない薬剤も含む)

(倉原優氏作成)
ちなみに、今年(2020年)5月28日厚生労働省の薬食審・医薬品第2部会で、ICS/LABAであるアテキュラ、LAMA/LABA/ICSであるエナジアが喘息に対して承認されたが、いずれもCOPDに対しては現時点で保険適用されないようだ。
当院(国立病院機構近畿中央呼吸器センター)はCOPD患者が多数来院するが、基本的にプライマリケアでは対応が難しい重症例が多いため、私自身も最近はLAMA単剤より、LAMA/LABAやLAMA/LABA/ICSの配合剤を処方することが増えた。
さて、ICSが入ったCOPD患者において、不要ならば離脱しようという試みがある。ICSそのものには抗炎症作用があるが、喘息はともかくCOPDに対して長期に必要かどうかはまだ結論が出ておらず、口腔内カンジダ症や軽度の肺炎のリスク上昇がある。"Less is more"が叫ばれる中、欧州呼吸器学会(ERS)からICS離脱に関するガイドラインが出たので紹介したいと思う(Eur Respir J 2020;55:2000351)。
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倉原 優 (くらはら ゆう)
国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科医師。2006年、滋賀医科大学卒業。洛和会音羽病院での初期研修を修了後、2008年から現職。日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本感染症学会感染症専門医、インフェクションコントロールドクター、音楽療法士。自身のブログで論文の和訳やエッセイを執筆(ブログ「呼吸器内科医」)。著書に『呼吸器の薬の考え方、使い方』、『COPDの教科書』、『気管支喘息バイブル』、『ねころんで読める呼吸』シリーズ、『本当にあった医学論文』シリーズ、『ポケット呼吸器診療』(毎年改訂)など。










