コロナ重症化の鍵は「ネアンデルタール人」

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 英科学誌『Nature』に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化リスクとなるゲノム配列がネアンデルタール人由来であるとの論文が掲載された(Nature 2020年9月30日オンライン版)。この領域は第3染色体短腕の一領域であり、ケモカイン受容体の遺伝子を多く含む。今回の報告は、①結果が新規治療薬開発につながる可能性がある②世界の各集団間で重症化率に差が見られることの原因の一部を説明する可能性がある③用いられた手法が日本で開発されたものであるーことから、解説する意義が高いと考える。

 今回は、高尿酸血症の論文解説から"脱線"するが、本コーナーで私見を提示したい。

鎌谷直之(かまたに なおゆき)

公益財団法人痛風・尿酸財団理事、株式会社スタージェン会長

1973年東京大学医学部を卒業し、東京大学附属病院、日立製作所日立総合病院、東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センターなどで臨床医、研究者として膠原病、関節リウマチ、痛風、遺伝代謝病などの診療、教育、研究に当たる。

1979年4月から1982年3月まで米国カリフォルニア州スクリプス研究所に研究員として勤務し、抗白血病薬クラドリビンの開発に至った論文を発表、世界最初のがん抑制遺伝子MTAPの発見、MTAP欠損をターゲットにしたがんの個別化治療法の開発などを行った。

1998年から2008年まで東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センター・センター長を務め、関節リウマチのコホートIORRA研究の指導、ゲノム薬理学に関する臨床研究、新しい高尿酸血症・痛風治療薬フェブキソスタットの臨床開発などを行う。

1989年4月から1990年3月まで米国ミシガン大学内科客員教授を務める。

2010年4月から2011年12月まで理化学研究所ゲノム医科学研究センター・センター長を務め、さまざまな疾患のゲノムワイド関連解析(GWAS)を行った。これまでに600以上の論文を発表。

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