進行再発食道扁平上皮がんにおけるICIを基軸とした総合治療戦略はどうなる?

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研究の背景:食道がんに対するICIの大規模臨床試験の報告が相次ぐ

 食道がん、特に扁平上皮がんに対する免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の臨床試験結果が相次いで報告されたことを受けて、進行食道扁平上皮がんに対する治療戦略が大きく変わろうとしている。

 治癒切除不能な進行再発食道扁平上皮がんに対する二次治療以降のICIについては、昨年(2020年)2月にATTRACTION-3試験の結果に基づき、抗PD-1抗体ニボルマブの適応拡大が承認された。さらに昨年8月には、KEYNOTE-181試験の結果に基づき、PD-L1陽性(CPS※1≧10)の扁平上皮がんに対して抗PD-1抗体ペムブロリズマブの適応拡大が承認された。日本食道学会ガイドライン委員会のウェブ版速報では、CPS不明例ではニボルマブ、CPS≧10かつ扁平上皮んがん症例ではペムブロリズマブが推奨されている1)

 今年の米国臨床腫瘍学会(ASCO 2021)では、標準的な一次治療であるフルオロウラシル(5-FU)+シスプラチン(CDDP、以下、FP療法)へのICIの上乗せ効果を検証する非盲検第Ⅲ相ランダム化比較試験CheckMate-648で、FP療法群に対するニボルマブ+FP療法群の優越性を証明したとの結果が発表された(関連記事「ニボルマブ併用療法、未治療食道がんでOS延長」)。

 この結果を受けて一次治療の標準が改訂される可能性が高いことから、既に発表されている食道がんICI治療臨床試験の全生存(OS)ならびに無増悪生存(PFS)のデータを概説して、今後の食道扁平上皮がん治療におけるICIを基軸とした総合治療戦略について考察したみたい。

島田 英昭(しまだ ひであき)

東邦大学大学院消化器外科学・臨床腫瘍学教授、同大学医療センター大森病院がんセンター長。

1984年千葉大学医学部卒業、1991年同大学大学院医学研究科博士課程(外科系)修了。同年に渡米し、マサチューセッツ総合病院、ハーバード大学外科研究員として従事。帰国後、千葉大学病院助手、同大学講師大学院医学研究院講師(先端応用外科学)、千葉県がんセンター消化器外科主任医長を経て、2009年より現職。現在は、東邦大学大学院消化器外科学講座責任者・臨床腫瘍学講座責任者や同大学大森病院特定臨床研究審査委員会委員長を併任。

日本胃癌学会ガイドライン作成委員会委員、日本食道学会会誌編集委員会副委員長などを務める他、日本外科学会代議員、 日本消化器外科学会評議員、日本癌学会評議員、日本臨床外科学会評議員、 日本免疫治療学会理事、日本分子腫瘍マーカー研究会副代表幹事、外科分子細胞治療研究会世話人・代表幹事など多数の学会の活動にも携わる。Ann Gastroenterol Surg誌、Esophagus、Gastric Cancer誌、Ann Thorac Cardiovasc Surg誌、Digestive Surgery誌、Surgery Today誌、J Hepatobiliary Pancreat Sci誌、Cancer Science誌、Int J Clin Oncol誌、Jpn J Clin Oncol誌のEditor & Associate editor、Medical Tribuneのがん専門特設ページ「Oncology Tribune」の総監修も務める。

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