吸入薬を処方するなら、できるだけ合剤で

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研究の背景:喘息でもCOPDでも最終的には3剤トリプル吸入療法に

 プライマリケアにおいて吸入薬を処方するのは、喘息か慢性閉塞性肺疾患(COPD)のいずれかである。喘息は吸入ステロイド薬(ICS)あるいはICS/吸入長時間作用性β2刺激薬(LABA)で治療を開始し、効果不良の場合に、吸入長時間作用性抗コリン薬(LAMA)を加えることになる。COPDは、LAMAあるいはLAMA/LABAで治療を開始し、効果不良の場合にICSを加えることになる。

 順番は異なるが、最終的にはICS/LABA/LAMAの3剤のトリプル吸入療法になるストラテジーだ。

 さて、ここで議論の俎上に載るのが、配合剤を使うかどうかである。例えば、レスピマット製剤はこのデバイスのみでトリプル吸入療法にステップアップすることはできない。故に、LAMA/LABAはレスピマット、ICSは別の吸入デバイスという、ちぐはぐな処方になってしまうことは、現実でもある。

 さらに議論をややこしくしているのは、保険適用である。例えば、トリプル吸入製剤である3剤は、それぞれのデバイスごとに保険適応される疾患は別々である(図1)。

図1. 日本における吸入薬の保険適用

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(倉原優氏作成) 

今回紹介するのは、COPDに対する吸入デバイスの数の検討である(Chest 2022年7月3日オンライン版)。

倉原 優 (くらはら ゆう)

国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科医師。2006年、滋賀医科大学卒業。洛和会音羽病院での初期研修を修了後、2008年から現職。日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本感染症学会感染症専門医、インフェクションコントロールドクター、音楽療法士。自身のブログで論文の和訳やエッセイを執筆(ブログ「呼吸器内科医」)。著書に『呼吸器の薬の考え方、使い方』、『COPDの教科書』、『気管支喘息バイブル』、『ねころんで読める呼吸』シリーズ、『本当にあった医学論文』シリーズ、『ポケット呼吸器診療』(毎年改訂)など。

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