夜勤明けの医師は患者の痛みに無頓着?

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研究の背景: 睡眠不足の医師が処方した鎮痛剤の容量に着目

 今回は、Proceedings of the National Academy of Sciences, USAPNAS)に、「長時間の夜勤が、医師の鎮痛薬処方行動に及ぼす影響」に関する興味深い論文が掲載されたので紹介したい。

Physicians prescribe fewer analgesics during night shifts than day shifts(Proc Natl Acad Sci U S A. 2022; 119: e2200047119

 この研究は、イスラエル・Hebrew University of JerusalemのShoham Choshen-Hillel氏を筆頭研究者として、同大学の医学・経営学・心理学の専門家から成る学術チームによって実施された。夜勤による医師の疲労やストレスは、患者が感じている痛みに対する共感性の低下を引き起こし、鎮痛薬の処方が不十分になるのではないか?という仮説を検証したものである。

 そもそも痛みは主観的な現象であり、その評価には潜在的なバイアスが入り込む余地がある。果たして、夜勤による医師の疲労やストレスは、痛みを訴える患者に対する鎮痛薬処方に影響を及ぼしうるのだろうか。

須田 竜一郎(すだ りゅういちろう)

君津中央病院消化器外科部長。千葉大学大学院医学研究院臓器制御外科学。2001年藤田保健衛生大学卒。2001年より国立国際医療研究センターレジデント。2007年より同センター下部消化管外科技官。2018年より千葉大学病院第一外科を経て、2020年より現職。専門は下部消化管。日本外科学会指導医、日本大腸肛門病学会指導医、日本消化器内視鏡学会指導医、日本消化器外科学会専門医、日本消化器病学会専門医、日本臨床肛門病学会技能指導医、日本腹部救急医学会評議員。

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