まるで呼吸器疾患!リウマチ患者の肺トラブル

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研究の背景:呼吸器内科に紹介されるRA患者の特徴

 呼吸器内科には日々、関節リウマチ(RA)の患者が紹介されてくる。その内訳は主に2つある。

①生物学的製剤を使いたいがインターフェロンγ遊離試験(IGRA)陽性である。どうすればよいか

②気管支拡張症、細気管支炎、間質性肺疾患(ILD)がある。どうすればよいか

というものである。

 ①について。IGRAは現在の高齢者では既往感染を反映し、1~2割で陽性になる。日本に結核治療薬が登場して70年が経つため、過去に治療を受けているケースもあるが、診断されないままIGRA陽性になっている人も存在する。ケースバイケースだが、生物学的製剤を導入する場合、先んじて潜在性結核感染症の治療を導入することもある。

 今回は②についての話である。呼吸器病変を指摘されて紹介になるRA患者は多いが、胸部画像上で気管支拡張症、細気管支炎、ILDを同定された場合が多く、早期発見されにくいため進行した例も多い。

 今回紹介する研究は、RA患者における気道異常について調査した前向きコホート研究である(Chest 2024年9月27日オンライン版)。 肺機能検査、高分解能CT(HRCT)、定量的CT(qCT)の結果を解析し、RA患者における気道異常のベースラインの頻度を評価することを目的とした。

倉原 優 (くらはら ゆう)

国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科医師。2006年、滋賀医科大学卒業。洛和会音羽病院での初期研修を修了後、2008年から現職。日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本感染症学会感染症専門医、インフェクションコントロールドクター、音楽療法士。自身のブログで論文の和訳やエッセイを執筆(ブログ「呼吸器内科医」)。著書に『呼吸器の薬の考え方、使い方』、『COPDの教科書』、『気管支喘息バイブル』、『ねころんで読める呼吸』シリーズ、『本当にあった医学論文』シリーズ、『ポケット呼吸器診療』(毎年改訂)など。

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