研究の背景:RSウイルス感染予防のパラダイムシフト~今何が可能になったのか RSウイルス感染症は、乳幼児でも高齢者でも問題となる呼吸器系ウイルス感染症である。新生児の無呼吸発作や乳幼児の細気管支炎(喘鳴を伴う)の原因菌であり、早産児や心臓・肺・神経・筋疾患・免疫不全などの基礎疾患を有する児では重症化するリスクがある。一方、慢性呼吸器疾患などの基礎疾患を有する高齢者においては急性の重症肺炎の原因となる。 RSウイルスの治療薬はまだないものの、予防においては高リスク児に対するヒト化モノクローナル抗体製剤は国内では2002年に月1回投与型のパリビズマブが、2024年には年1回投与型のニルセビマブが承認された。昨年(2025年)はクレスロビマブが承認申請された。 出生した児への半年間の効果を期待した妊娠母体への不活化ワクチン接種(2024年に接種を開始、2026年4月から定期接種)、高齢者への不活化ワクチン(2024年から任意接種)と、ここ数年でRSウイルスに対する予防は飛躍的な進化を遂げている。接種条件やアウトカムにはよるものの、最近では母体ワクチンに比べてニルセビマブの方がRSウイルスによる入院防止効果が優れる(JAMA 2026; 335: 787-798)、どちらも有効ではあるがニルセビマブについては210日後までのRSウイルスによる入院防止効果がある(JAMA Pediatr 2026; 180: 314-324)などの報告がなされている。さらに、費用対効果の面ではニルセビマブと母体ワクチン併用がよい(Pediatrics 2026; 157: e2025071558)、などの報告もある。 ニセルビマブはワクチンではないものの、諸先進国のように乳幼児に広く(現在、国内では高リスク児のみ)、使用できるようにすることが議論されている。 今回は、注目されている小児へのニルセビマブ投与についてのシステマティックレビューとメタ解析を紹介したい。 Nirsevimab Against Hospitalizations and Emergency Department Visits for Lower Respiratory Tract Infection in Infants AMeta-Analysis . JAMA Pediatr 2026; 180: 152-159