<第5回>高齢者の臨床情報は分散・断片化する

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

症例:85歳女性
高血圧,心不全,認知症で近所の医院に長年通院しているが,娘による薬剤管理が不可欠なため内服薬は1日1回としていた。今回,心不全が増悪し入院となったが,加療で心不全は軽快し退院となった。入院中,薬剤が調整され内服薬は1日2回の内服薬となった...

高齢者の臨床情報の統合・継続には限界がある

 高齢者の臨床情報は分散しやすく,“ばらばら”に断片化しやすい可能性を秘めています。高齢者では並存疾患が多い上に,わが国の現状の医療システムでは,患者はありふれた症候・疾患であっても,それぞれに応じて異なる医療機関を受診することが珍しくありません。そのため,高齢者は複数の医療機関へ通院していることがあり,その場合には臨床情報が分散してしまいます。それぞれの医療機関に“主治医”がいて,検査や投薬がなされる可能性があるため,それらの詳細を全て把握することには限界があります。

木村琢磨先生

木村 琢磨(きむら・たくま)

北里大学医学部総合診療医学・地域総合医療学准教授,北里大学東病院 在宅・緩和支援センター長。

長野県生まれ。東邦大学医学部卒業,国立東京第二病院(現国立病院機構東京医療センター)で初期研修,国立病院東京医療センター総合診療科で後期研修,国立病院機構東埼玉病院総合診療科などを経て現職。

高齢者の臨床は「さまざまな症候・疾患への対応」「専門診療科への適切なコンサルテーション」「家族」「地域」を念頭に置く,「多職種との恊働」「継続性」を踏まえるなど総合診療医の持ち味を生かせる,やりがいのある領域であると考えています。本連載では,高齢者の臨床について横断的に考えていきたいと思っておりますので,先生方からの忌憚ないご意見をお待ちしております。

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