がんの平成と令和 小林博

札幌がんセミナー理事長

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平成を彩った3大ニュース

 平成時代の代表的なニュースとして、①画像診断など医療機器の開発②鎮痛薬の開発による痛みの解消など緩和医療の登場③ゲノム医療―の3つに絞ってみた。

1.医療機器の開発

 機器の開発と進歩は産業界のみならず医療界でも顕著であった。最たる事例は画像診断のための機器(CT、MRI、PETなど)の開発である。

 がんは以前は、血液検査による腫瘍マーカーで見つけられることが多かったが、その多くはある程度進行したがんであった。これに比べ、画像診断はその局在を含めごく小さながんでも見つけることができるため、早期発見、早期治療に大いに役立ち、結果的にがんの治療成績の向上に大きく貢献した。

 治療面では内視鏡手術、ロボット手術の登場も大きい。手際よく正確に、しかも患者にとっての負担が少ない手術を、外科医だけでなく内科医でも行えるようになった。患者の心身の負担とか苦痛を減らしQOLの向上に役立っただけでなく、5年生存率の上昇にも寄与することとなった。

 がん治療の機器として陽子線、重粒子線による放射線治療が身近なものになってきた。その中でも、肺その他微少な動きのある臓器がんに対する動体追跡陽子線治療の実用化も特筆に値する。

 その他、私たちが普段あまり気にしていないちょっとした医療器具の改良、改善の恩恵を受けていることが各分野に意外と多いことに気付く。

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