SGLT2阻害薬は心筋梗塞後の患者の予後を変えるか①

DAPA-MI試験

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研究の背景:停滞が続く心筋梗塞に対する新規治療

 プライマリ冠動脈インターベンションの普及により、心筋梗塞急性期の死亡率はこの数十年で驚くべきほどに低下しているが、決してその長期的な予後は良好とはいえない。一時的とはいえ心筋が虚血にさらされ、その結果、たとえ大きくないとしても左室心筋に梗塞巣が形成されてしまうことは、その後長期にわたり心不全を含む多くの心血管イベントのリスクとなりえるからである。ただ、この10年前後は心筋梗塞に対する新規治療といえるものは開発されておらず、さらなる予後の改善は困難であった。こうした状況下において、SGLT2阻害薬による心筋梗塞患者の予後改善効果を検討した試験DAPA‐MIの結果(NEJM Evid 2024; EVIDoa2300286)が報告されたので紹介したい(関連記事「心不全へのSGLT2阻害薬、早期導入が鍵 」)。

末永 祐哉(まつえ ゆうや)

順天堂大学循環器内科学講座准教授。2005年鹿児島大学医学部卒業、その後亀田総合病院で初期研修医から循環器内科後期研修医、医長となるまで10年勤務し、2014年から18年までオランダ・フローニンゲン大学循環器内科でリサーチフェローとして心不全に関する臨床研究を行う。帰国した後は現職で心不全・心筋症の臨床および臨床研究に従事している。U-40心不全ネットワーク創立メンバー。

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