「青い精液」の謎

「精液の色がおかしいから見てほしい」

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ
こんにちは、プライベートケアクリニック東京の小堀善友と申します。もともとは一般泌尿器科の専門医でしたが、現在は性感染症、男性不妊症、性機能障害を専門とする都内のクリニックに勤務しています。専門性の高いクリニックだけあって、一般の病院ではお目にかからないような珍しい症例をよく目にします。先生方の学びにつながるような症例を、定期的に紹介します。

 われわれのクリニックには、「精液の色がおかしいから見てほしい」という患者が少なからず来院されます。その理由としては、当院の公式サイトに精液の色に関する解説を掲載しているので、それを見た患者が来院する場合が多いのです。

 「精液の色がおかしい」という訴えの多い順に、黄色、赤、茶色であり、そのほとんどは問題がないのです(これらの色の変化の理由に関しては、後で概説します)。

 しかし先日、私は驚くべき症例に遭遇しました。患者から、なんと「"青い精液"を調べてほしい」との訴えがあったのです。

 「青い精液」というものが本当にありうるのか、と当初は懐疑的な気持ちが強かったのです。そもそも、ありえない色であると考えたからです。例えば、人気コミックでアニメーションも大ヒットした『鬼滅の刃』という作品がありますが、敵の大ボスである鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)が追い求めていたのは「青い彼岸花」です。彼岸花の色は赤で、その反対色である青は彼岸花の色としてはそもそもありえないのです(例えにもなっていませんか?)。

 とはいえ先入観念を捨てることも必要です。例えば、カレーライスは茶色いもの、と決まっているようですが、青いカレーライスも実在します。前置きはさておき、今回の症例を紹介します。

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