視力回復に限界説?加齢黄斑変性への抗VEGF療法

soziniberceptの開発におけるP2およびP3結果の乖離

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研究の背景:VEGF-C/Dを標的としたsoziniberceptの開発

 抗血管内皮増殖因子(VEGF)療法は、新生血管型加齢黄斑変性(nAMD)に対する標準治療であるが、その限界も指摘されており、新たな血管新生関連経路への介入が模索されている。中でもVEGF-C/Dを標的とするsozinibercept(OPT-302)は、VEGF-A阻害薬との併用による視力および解剖学的転帰の改善を目指して開発が進められてきた。今回は、nAMDのサブタイプでアジア人に多いポリープ状脈絡膜血管症(PCV)に対するラニビズマブ+sozinibercept併用療法の有効性を評価した第Ⅱb相試験のサブグループ解析Ophthalmol Sci 2025年3月12日オンライン版)と、その後に豪州・Opthea社から発表された第Ⅲ相試験COASTの結果2025年3月24日リリース)を紹介し、現在のnAMD治療の課題について考察する。

柳 靖雄(やなぎ やすお)

医療法人社団祥正会お花茶屋眼科手術外来院長、横浜市立大学視覚再生外科学客員教授、デューク・シンガポール国立大学医学部Adjunct Professor

東京大学医学部を卒業(1995年、MD)し、同大学大学院で医学博士号を取得(2001年、PhD)。基礎医学に強固な学術的バックグラウンドを持ち、200本以上の科学論文を執筆、国内外で10以上の賞を受賞。東京大学医学部眼科学教室講師(2012~2015年)、デューク・シンガポール国立大学医学部准教授(2016~2020年)、旭川医科大学眼科学教室教授(2018~2020年)を歴任し、現在は横浜市立大学視覚再生外科学客員教授(2020年~)およびデューク・シンガポール国立大学医学部Adjunct Professor(2020年~)として国際共同研究に積極的に関与している。専門は黄斑疾患で、新規治療薬に関する特許を多数出願。スタンフォード大学とエルゼビア社が2024年に発表した「世界のトップ2%の科学者リスト」に選出された。DeepEyeVisionの取締役としてAI技術の開発に携わり、国際誌「TVST」や「Scientific Reports」の編集者としても日本のプレゼンス向上に貢献。都内のクリニックでは質の高い診療を提供し、地域医療にも尽力。現在、医療経済研究、創薬、国際共同臨床研究など多岐にわたる分野で積極的に活動している。

柳 靖雄
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