「肥満パラドクス」の真実に迫る 不適切な肥満度指標「BMI」が導いた虚像の可能性 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする 〔編集部から〕本連載は、主要医学ジャーナルに目を通すことを毎朝の日課としている医学レポーターが、SNS上での反響も踏まえ、毎週特に目を引いた論文5本をピックアップ。うち1本にフォーカスします。7月28日~8月3日の1週間に公開された論文からフォーカスしたのは「肥満パラドクス」に関する論文。その他のピックアップ論文は、末尾をご覧ください。 2000年代初頭に登場した「肥満パラドクス」 「肥満パラドクス」と呼ばれる事象がある。若干肥満体型の方が、冠動脈疾患例や心不全例などでは転帰が良いというデータを指す(Lancet 2006; 368: 666-678、Clin Res Cardiol 2019; 108: 119-132)。一般的に「肥満」は健康阻害要因と考えられているため、肥満が有用に映るこの現象は「逆説(パラドクス)」と呼ばれるようになった。 興味深いことに、この「肥満パラドクス」という言葉が現れたのは、米国社会の肥満化が不可避となった2000年代初頭である。以後、指数関数的に増え続けた(Can J Cardiol 2018; 34: 540-542)。 しかしこの「肥満パラドクス」、本当に存在するのだろうか。これを否定する論文が7月29日、Diabetes Obes Metabで公開された。中国・Shandong UniversityのWenhao Yu氏らが、英国大規模コホートを解析した結果である。 従来報告されてきた「肥満パラドクス」は、脂肪量の多寡を必ずしも反映しない「BMI」を肥満指標として用いたが故の、アーチファクトだった可能性がありそうだ。 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×