GLP-1受容体作動薬をはじめとする肥満症治療薬の登場は、運動療法や食事療法では効果が十分に得られない患者に福音をもたらした。その一方で、美容目的での不適切使用が社会問題化している。こうした中、日本肥満学会は今年(2025年)4月、新たな疾患概念「女性の低体重/低栄養症候群(Female Underweight/Undernutrition Syndrome;FUS)」を発表した。肥満症を扱う学会がなぜ痩せの問題に取り組むのか。一見対極に見える肥満症とFUSの共通基盤や連続性、両者に対する統一的なアプローチの意義やFUS診療体制確立への展望について、FUSワーキンググループ委員長で神戸大学大学院橋渡し科学分野代謝疾患部門特命教授の小川渉氏に聞いた。(関連記事「若年女性の痩せで、低骨量のリスク上昇」「新疾患概念FUS、女性の低体重・低栄養に警鐘」)