妊娠喘息への吸入ステロイド、強く推奨されるエビデンス登場

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

研究の背景:GLが推奨する妊娠中のICS使用だが、児の肺機能への影響は未解明

 喘息は妊娠中に最も頻度の高い合併症の1つであり、全妊娠の最大17%に影響を及ぼすといわれている。妊娠中の喘息増悪やコントロール不良は、早産や低出生体重、周産期死亡率の上昇といったアウトカムの悪化に直結することが知られてきた。それだけではなく、母体の喘息は児の生後早期における肺機能低下や、重症細気管支炎、将来的な小児喘息の発症リスクとも密接に関連している。

 喘息管理の国際的なガイドライン(Global Strategy for Asthma Management and Prevention 2025)では、妊娠中も非妊娠時と同様に、吸入ステロイド(ICS)を中心とした抗炎症療法を行うことが推奨されているが、ICS使用が直接的に児の肺機能にどのような影響を与えるか、特に母体喘息による肺機能低下をどの程度相殺できるのかについては、これまで十分に解明されていなかった。

 近年の知見は、母体の喘息コントロール不全こそが、児の将来的な呼吸器疾患リスクを高める可能性を示唆している。本稿では、最新の知見(Thorax 2025年11月9日オンライン版)を基に臨床的意義を深掘りしたい。

倉原 優 (くらはら ゆう)

国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科医師。2006年、滋賀医科大学卒業。洛和会音羽病院での初期研修を修了後、2008年から現職。日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本感染症学会感染症専門医、インフェクションコントロールドクター、音楽療法士。自身のブログで論文の和訳やエッセイを執筆(ブログ「呼吸器内科医」)。著書に『呼吸器の薬の考え方、使い方』、『COPDの教科書』、『気管支喘息バイブル』、『ねころんで読める呼吸』シリーズ、『本当にあった医学論文』シリーズ、『ポケット呼吸器診療』(毎年改訂)など。

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