ドクターズアイ 小林拓(消化器)

クローン病の発症は予測可能か?

CCC-GEMコホートが示す抗フラジェリン抗体の新たな意義

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研究の背景:発症前の「前臨床期」を捉える試み

 クローン病(CD)の病態解明が進む中、診断される数年前から免疫学的・生化学的な変化が生じる「前臨床期(preclinical phase)」の存在が明らかになりつつある。米国のPREDICTS研究(Gastroenterology 2020; 159: 96-104)やデンマークのコホート研究(Cell Rep Med 2023; 4: 101263)では、診断の数年前から特定の抗微生物抗体や炎症マーカーの値が上昇していることが報告された。 もし発症リスクを正確に予測できれば、早期介入や予防につながる可能性がある。

 今回紹介するWu氏らの研究は、カナダを中心とした大規模前向きコホート研究CCC-GEMプロジェクト(Gastroenterology 2021; 161: 1540-1551)のデータを用いて、 CD患者の一親等血縁者(親・子・きょうだい、FDRs)で、無症状の健康な人における特定の抗体反応が、将来のCD発症を予測できるかを検討した。さらに、その抗体の認識部位を明らかにしたことで、病態理解においても重要な知見をもたらした(Clin Gastroenterol Hepatol 2026年1月12日オンライン版)。

小林 拓(こばやし たく)

北里大学北里研究所病院炎症性腸疾患先進治療センター センター長、病院長補佐、消化器内科部長、北里大学医学部消化器内科学 准教授

「1998年、名古屋大学医学部卒業。関連病院で研修の後、2004年より慶應義塾大学消化器内科特別研究員として炎症性腸疾患の研究に従事、2008年医学博士。2009年、米・ノースカロライナ大学博士研究員、2012年北里研究所病院消化器内科医長を経て炎症性腸疾患先進治療センター副センター長、2022年より現職。 日本消化器病学会(専門医・指導医・学会評議員・ガイドライン委員)、日本消化器内視鏡学会(専門医・指導医・学術評議員)などに所属。日本炎症性腸疾患学会では国際交流委員会、機関誌編集委員会委員長、European Crohn's and Colitis Organisationのクローン病ガイドライン委員を歴任。

小林 拓
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