〔編集部から〕本連載は、主要医学ジャーナルに目を通すことを毎朝の日課としている医学レポーターが、SNS上での反響も踏まえ、毎週特に目を引いた論文5本をピックアップ。うち1本にフォーカスします。今回は2月2~8日に公開された論文からフォーカスしたのは「厳格降圧」に関する論文。その他のピックアップ論文は、末尾をご覧ください。 厳格化が進む降圧目標 近年、高血圧に対する降圧目標の厳格化が進みつつある。 最新の米国ガイドライン推奨値は、10年間心血管疾患(CVD)リスクが「7.5%以上」であれば「130/80mmHg未満」とされた(7.5%未満ならば、同目標は「考慮も可」;Hypertension 2025; 82:e212-e316)。 欧州心臓病学会(ESC)ガイドラインはさらに厳しく、「一般的」な降圧目標として「120~129/70~79mmHg」を推奨している(Eur Heart J 2024; 45: 3912-4018)。 このような流れに対し、「左室肥大を合併している場合、高血圧への積極降圧は安全性に懸念がある」とのレビューが2月10日、Eur J Intern Medに掲載された。 筆頭著者はノルウェー・Oslo大学のSverre E Kjeldsen氏。2023年版欧州高血圧学会(ESH)ガイドラインの責任著者である。それ以外にも、ESHの大御所が著者として名を連ねている。 高血圧例における左室肥大合併率は高い。エコー評価による肥大なら36~41%(J Hum Hypertens 2012; 26: 343-349)、心電図上の肥大でも35%に認められると報告されている(J Hypertens 1990; 8: 775-782)。 本当に積極降圧の安全性に問題があるのなら、看過できない警鐘である。