薬剤師のための皮膚科処方箋/ステロイドとアズノール軟膏の重層塗布 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする 研究所所長(監修)だんの皮フ科クリニック 段野 貴一郎 処方箋からわかることは...? 疾患 ステロイドとアズノールによる重層塗布が指示されていることから、発赤・腫脹・水疱を伴う高度の火傷様日焼けと思われる 処方意図 ステロイドで強い炎症を抑え、早期軽快をはかりたいアズノールの重層塗布でステロイド治療を支援ガーゼ被覆により患部を保護し、二次感染を予防 リンデロン®-V軟膏0.12%とアズノール® 軟膏0.033%の要点 薬剤:リンデロン® -V軟膏0.12% 一般名:ベタメタゾン吉草酸エステルstrongランクのステロイド外用剤[同ランク品] リンデロン®-VG*、ボアラ®、エクラー® * リンデロン-VGはリンデロン-Vに抗生物質ゲンタマイシンが配合された合剤。ゲンタマイシンには耐性菌が多いので、抗菌作用を期待して用いられることは少ない 薬剤:アズノール®軟膏0.033% ジメチルイソプロピルアズレンを含有する青色のやわらかい軟膏皮膚保護作用、吸湿作用、消炎・冷却作用 用法 1日2回の指示 その他のポイント 2種類の外用薬を重ねて塗布し、ガーゼで覆う重層塗布の指示 患者さんにこうやって伝えよう! ステロイドとアズノール®軟膏が処方されていますステロイドは直接患部に塗ってください。強い炎症を抑えるためですアズノールはガーゼに延ばして患部を覆ってください。患部を保護するためです1日2回、塗布してください Dr.Dannoのコレは覚えておきたい! ステロイドとアズノール® 軟膏の重層塗布 適応 発赤・腫脹・水疱形成を伴う高度の急性炎症性疾患の初期(火傷様日焼け、熱傷、接触皮膚炎、虫刺症など) ステロイドを使うメリットは? 日焼けは紫外線による急性の炎症疾患(火傷)ですステロイドは強い炎症を迅速に抑制しますできるだけ初期に塗布することによって炎症の拡大を阻止します炎症が拡大した後で塗布しても、効果は薄れます アズノール®軟膏によるガーゼ被覆のメリットは? 滲出液の吸収作用、消炎・冷却作用によりステロイド治療を支援します保護作用により、掻破・二次感染を予防します 重層塗布の方法 1.ステロイドを直接患部に塗り、アズノール®軟膏をガーゼに延ばします※1(一般的な方法) →ステロイドはガーゼに延ばすより直接患部に塗るほうが効果的→アズノール®軟膏は多めにガーゼに延ばし、ステロイドを塗布した患部の上から覆います→アズノール®軟膏の量が少ないと、ガーゼが病変に付着して剥がしにくくなります 2.ステロイドとアズノール®軟膏の両方をガーゼに延ばします※2 →ガーゼに延ばす順序は、先にアズノール®軟膏、その上からステロイド 3.ステロイドとアズノール®軟膏を混合し、ガーゼに延ばします※2 ※1 軟膏をガーゼに延ばすには、バターナイフが便利です。バターナイフは熱湯で煮沸するかきれいに洗浄してから使いましょう※2 炎症が強く、ひりひりして直接塗布が無理な場合は、2または3の方法を採用します 前回の「ステロイドと亜鉛華軟膏の重層塗布」はこちら 次回の「皮膚科受診患者さんからの質問」はこちら [PharmaTribune 2013年1月号掲載] 監修者 ● 段野貴一郎 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医皮膚科からの患者さんに「このステロイドって強いの?体に悪くない?」と突然相談されて、答えに困ってしまったことはありませんか?ステロイド外用剤による治療は、薬の適切な使用がなにより大切。患者さんに尋ねられた時の薬剤師の対応が、その後の服薬コンプライアンスを左右するといっても過言ではありません。「皮膚科処方箋研究所」では、皮膚科処方箋の読み解き方と外用剤の服薬指導を経験豊富な皮膚科専門医がお教えします。【略歴】1975 年 京都大学医学部卒業1977 年 カリフォルニア大学留学1984 年 京都大学医学部皮膚科講師1987 年 天理よろづ相談所病院皮膚科部長1992 年 滋賀医科大学皮膚科准教授2008 年 滋賀県栗東市にてだんの皮フ科クリニック」開院 皮膚科の薬剤をもっと学びたい人に・・・ ここがツボ!患者に伝える皮膚外用剤の使い方 改訂2版著 段野貴一郎(だんの皮フ科クリニック)B5判・148頁 定価(本体3,400円+税) ISBN978-4-7653-1569-2http://www.kinpodo-pub.co.jp/shosai/e1811-1569-2.html 保湿剤、ステロイド、免疫抑制外用剤・・・さまざまな処方箋を例に、段野医師が処方意図の読み方と服薬指導のコツを解説します。処方鑑査のポイントや外用剤の製剤特性など、薬剤師であれば知っておきたい外用剤の基礎知識を、わかりやすく紹介。読んだ次の日から実践できる、即戦力の一冊です。 参考になった 名の医師が参考になったと回答 記事をクリップ 記事をクリップして、あとでマイページから読むことができます Facebookでシェアする Xでシェアする Lineでシェアする ×