からだを守る力 描いた木の幹には腹巻きが巻かれていた。冬に公園の松などに巻かれている、藁で編まれた帯。「これはあれだよね」と尋ねた私にAさんは微笑んで、うなずいた。Aさんにはその意図はなかったと思うが、私にはそれが腹巻きに見えた。腹巻きを巻いている木の幹はAさんのお腹のように思えた。この人は守られている。からだを守る力が備わっている。自分を守ることができる。子供の頃、大切に育てられたのかもしれない。そんな気がした。精神科医になって3年目、見よう見まねで始めた描画療法での出来事だ。