〔編集部から〕本連載は、主要医学ジャーナルに目を通すことを毎朝の日課としている医学レポーターが、SNS上での反響も踏まえ、毎週特に目を引いた論文5本をピックアップ。うち1本にフォーカスします。11月24~30日の1週間に公開された論文からフォーカスしたのは「GLP-1関連薬中止後のリバウンド」に関する論文。その他のピックアップ論文は、末尾をご覧ください。 中止52週後に平均11.1kg増加 GLP-1関連薬は、肥満症治療薬として有望視されている。しかし報告されている継続率は決して高くない。海外の実臨床データによれば、処方開始後1年間だけで中止率は20~50%に上る(Diabetes Obes Metab 2025; 27: 66-88)。 そこで気になるのが、GLP-1関連薬中止後の体重増加(リバウンド)の有無と程度である。 この点について、GIP/GLP-1受容体作動薬のチルゼパチドでは既に、ランダム化比較試験(RCT)SURMOUNT-4により明らかにされている(JAMA 2024; 331: 38-48)。 すなわち、同薬36週間使用で107.3kgから21.5kg低下した体重は、同薬中止52週後には平均11.1kg増加した。加えてこの増量傾向は観察終了時にも続いていた。つまり、観察期間が長ければさらなる体重増加に至った可能性もある。 ただし、リバウンドの程度に患者間で相当のバラツキが存在したのも事実である。そのため、より詳細な解析が待たれていた。 そして11月24日、後付け解析ではあるものの、SURMOUNT-4試験におけるリバウンド状況の詳細な解析が、 JAMA Intern Medに掲載された。著者は米・McGovern Medical SchoolのDeborah B Horn氏ら。 「中止」の可能性を考えた場合、チルゼパチドを「推奨しうる」患者群と「避けるべきでないか」と思われる患者群の存在が明らかになった。 ではそれらの患者群を、事前に予知するのは可能だろうか。