〔編集部から〕本連載は、主要医学ジャーナルに目を通すことを毎朝の日課としている医学レポーターが、SNS上での反響も踏まえ、毎週特に目を引いた論文5本をピックアップ。うち1本にフォーカスします。12月7~13日の1週間に公開された論文からフォーカスしたのは「就寝前降圧薬服用」に関する論文。その他のピックアップ論文は、末尾をご覧ください。 決着したはずだったが... 降圧薬を服用するタイミングは「就寝前」「起床後」のいずれでも、心血管(CV)リスク低下作用に差はない―。これが今年(2025年)5月に報告された、ランダム化比較試験(RCT)BedMedから導き出された結論である(JAMA 2025; 333: 2061-2072)。 2010年のMAPEC試験報告以来議論となっていた「降圧薬服用のタイミングがCVイベント抑制に及ぼす影響」は、この試験で決着したはずだった(関連記事「混迷度増す? 降圧薬『就寝前』服用の有効性」)。 しかし今回、これに再考を迫るデータが報告された。「就寝前」服用でリスクが有意に減少するCVイベントの存在が明らかになったのだ。イタリア・Gabriele d'Annunzio UniversityのFrancesca Coccina氏とSante D. Pierdomenico氏が12月10日、RCTメタ解析の結果として、Hypertens Resで報告した。