〔編集部から〕本連載は、主要医学ジャーナルに目を通すことを毎朝の日課としている医学レポーターが、SNS上での反響も踏まえ、毎週特に目を引いた論文5本をピックアップ。うち1本にフォーカスします。今回は3月23~29日に公開された論文からフォーカスしたのは「心不全の評価指標」に関する論文。その他のピックアップ論文は、末尾をご覧ください。 「イベント減少率」とは異なる観点から評価 今年(2026年)3月6日の本欄で、生活習慣病に対する予防介入を「イベント遅延作用」という指標で評価すると「有効性」は驚くほど小さく感じられる、という論文を紹介した(関連記事「GLP-1受容体作動薬って、これだけしか効かないの?」)。 すなわち、心腎高リスク2型糖尿病例を対象とした10本のランダム化比較試験(RCT)をメタ解析したところ、GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)による「主要心血管イベント」(MACE)の発生遅延幅は「11日間」に満たなかった(対プラセボ:相対リスクで評価すると14%の有意低下)。 腎イベントに至っては3日間未満である(相対リスクは17%の有意低下)。 そして3月23日、今度は慢性心不全(HF)への介入を、従来の「イベント減少率」とは異なる観点から評価しようとする試みが、JACC Heart Failで紹介された。著者は米国製薬会社InsitroのZachary R McCaw氏ら。 Kaplan-Meier曲線から想起される「有効性」は果たして、患者が感じる「治療の恩恵」を的確に反映しているだろうか。