今年(2025年)8月、『高血圧管理・治療ガイドライン2025』が刊行されました。改訂は6年ぶりとなり、今日本高血圧学会では同ガイドラインにおける薬物療法の考え方と選択のコツなどの関連演題が発表されました。高血圧患者の血圧コントロール状況には、どうも地域差があるようです。また、見過ごしやすい拡張期血圧の管理にも目を向ける必要がありそうです。今回、こうした注目演題を取材しました。 高齢者の脈圧、ライフステージによる変化に注意 東京都健康長寿医療センター循環器内科部長の石川讓治氏らは、同センターフレイル外来における高齢患者の脈圧と認知機能、フレイルなどとの関連を報告している。同氏は第47回日本高血圧学会(10月17日~19日)でこれまでの検討結果を解説し、脈圧がライフステージによって変化する点を指摘。「高齢患者では、動脈スティフネスと1回拍出量のバランスを考慮してほしい」と呼びかけた。・・・ 心血管疾患予防に「拡張期血圧」の管理も 高血圧のタイプのうち収縮期血圧(SBP)高値は、心血管疾患発症との有意な関連が示されている。一方、拡張期血圧(DBP)のみ高い孤立性拡張期高血圧(IDH)との関連性は明らかでない。福岡大学衛生・公衆衛生学主任教授の有馬久富氏は、自身がメタ解析を行った疫学研究APCSCなどの結果を第47回日本高血圧学会(10月17日~19日)で解説。「心血管疾患発症のさらなる発症予防に向け、IDHの管理が必要な可能性がある」と指摘した。・・・ 「最初の1剤」で高血圧治療の未来が決まる⁉ 今年(2025年)8月に刊行された『高血圧管理・治療ガイドライン2025』では、年齢や合併症の有無にかかわらず降圧目標値が130/80mmHg(診察室血圧)に一本化された。目標値の達成に向け、まず単剤で治療を開始するが、Ca拮抗薬、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)、ACE阻害薬、サイアザイド系利尿薬、β遮断薬の中からどれを選ぶべきか。ヨコクラ病院(福岡県)総合診療部部長の甲斐久史氏は、第47回日本高血圧学会(10月17日~19日)で選択の目安となる各薬剤の特徴を解説。最初の1剤の適切な選択がなければ、その後の治療に悪影響が及ぶと注意を喚起した。・・・ 血圧コントロールに明確な都道府県格差 全国健康保険協会(協会けんぽ)の健康診断データを用いた後ろ向きコホート研究から、高血圧患者の血圧コントロール状況には地域差が存在する現状が浮き彫りとなった。東北医科薬科大学大学院医学研究科疫学分野/同大学病院臨床研究推進センターの岩部悠太郎氏らは、2015~22年度に新たに降圧薬を開始した75歳未満の131万人超を対象に、130/80mmHg未満の血圧コントロール達成率を検討。その結果、全国での達成率は4分の1強にとどまり、都道府県別では26.18~18.83%の明確な地域差が存在したと第47回日本高血圧学会(10月17~19日)で報告した。この演題は、若手研究者奨励(YIP)賞を受賞した。・・・ 2025年開催学会レポート一覧に戻る