第3回:時代の変化と医師・患者関係の変化
"入院するところ"から"治療するところ"に
日本は欧米と比較して入院できる病院(病床)が多いということもあり、病気(もしくは様々な症状を持つ病気に準じる状態)の治療は病院に入院して行う、裏を返せば生活の場にはある程度元気な人だけがいるという環境の中にあったように思います。ただ、医療費の高騰そして今後の高齢化に伴う社会保障費の抑制の観点から、最近は医療全体をどんどん外来へとシフトさせてきています。
といっても、ただ無理矢理にシフトさせているわけではありません。考え方によっては、今までは入院できるところがあったので、入院しなくてもいい患者さんまで入院していた可能性があります。すなわち、病院は治療をする所であり、治療が終わるまで入院して、終わってから退院するというふうに単に線引きをしてしまう考え方から、病院は入院が必要なこと(治療や検査)を行う場所であり、それが終わるもしくは外来でも可能となった段階で退院するという常識的な考え方に変化してきました。そして、最近は外来で可能な処置、治療がどんどん増えているのは間違いがないところです。
入院していないとできないこと(外来ではできないこと)とは、どのようなものでしょうか? 一般的には手術や各種の検査、厳密なチェックが必要な指導、危険薬の使用時といったバックアップ体制が必要な場合などでしょう。ただ、30年以上臨床をしていて、以前は手術後にドレナージチューブを入れたまま退院して外来で管理したり、CVポートを入れて外来で栄養管理や化学療法をしたりする時代が来るとは、夢にも思いませんでした。すなわち、30年前いや20年ほど前には外来ではできないと思っていたことが、現在は可能になったのです。
時代の流れであり、医療の進歩と言ってしまえばそれまでです。ただし、外科の領域では慣習的に行われてきたことが見直され、取って変わるということはなかなかあり得ないこと。その中で少なくともここ10年ぐらいの間における変化は、目まぐるしいものがあります。そして、もし昔自分が手術をした患者さんが今手術を受けたらどうなるか? いろいろなことが頭をよぎります。
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西村 元一(にしむら・げんいち)
1958年金沢市生まれ。1983年金沢大医学部卒。金沢大病院や富山県立中央病院などを経て、2008年金沢赤十字病院消化器病センター第一外科部長、2009年から同院副院長を兼務。2015年3月に進行胃がんが見つかり、闘病しながら精力的に啓発活動を続けている。がん患者や医療者が集う「がんとむきあう会」代表。ブルーリボンキャンペーン・アンバサダー。









