大腸がん予防のための薬物療法レビュー

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研究の背景:予防薬候補は多いがエビデンスはまちまち

 がん診療における最終的なエンドポイントである"がん死の減少"を達成するためには、「治療の質向上」「早期発見」と同様に、「予防」も非常に有効なアプローチである。

 大腸がんの予防には、禁煙、健康的なBMI、定期的な運動、特定の食事内容の回避などが有効とされるが、薬物を使用した大腸がんの予防に関する研究は比較的古くから行われてきた。これまで予防薬の候補として研究対象となった薬剤は、アスピリン、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)、メトホルミン、カルシウム、ビタミン類などであるが、有効性に一貫性がなかったり、研究ごとの主要アウトカムや研究デザイン、有害事象プロファイルに相違が見られたりと、日常診療で実践する根拠となるエビデンスをおのおのの臨床医が判断するのは難しいというのが、現状ではなかろうか。

 今回、米国消化器病学会(AGA)から、大腸がん予防のための薬物療法について最新のエビデンスに基づく提言が発表されたので紹介したい。このレビューを通して、大腸がんの薬物的予防に関する現在の位置付けが垣間見えてくる。

AGA Clinical Practice Update on Chemoprevention for Colorectal Neoplasia: Expert Review. Clin Gastroenterol Hepatol 2021; 19: 1327-1336.

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