腎移植患者のB型肝炎ワクチン、行き着く先は?

調べても分からないから研究した

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

研究の背景:なんとなく実践される「交互に使ってみる」戦略

 固形臓器移植(SOT)のレシピエントは、免疫抑制剤を使用するため感染リスクが高い。よって、各種予防接種が推奨される。詳しくは拙著『医学生・研修医のための感染症内科』を参照されたい。

 神戸大学病院では腎移植患者のワクチン接種をわれわれ感染症内科が担当している。中でも重要なのがB型肝炎ワクチン(HBVワクチン)だ。HBVワクチンは6カ月間に3回接種するのが一般的だ。厳密に言えば「不活化」しているわけではないのだが、慣例的に「不活化ワクチン」の呼称が普及している。焼いていないのに「チャーシュー」と呼ぶようなものだ(笑)。詳しくは、私が書いた光文社新書のワクチン3部作(『予防接種は「効く」のか?』『ワクチンは怖くない』『ワクチンを学び直す』)をお読みいただきたい。

 3回終了後にHBs抗体を測定し「ワクチンが付いているか」確認する。陰性(10IU/mL未満)の場合は1〜3回追加接種(ブースター)を行う。それでも抗体が付かない場合は、これ以上の追加接種は行わない。液性免疫に依存する抗体は付いていなくても細胞性免疫はある程度付与されているだろう、という推測に基づいている。

岩田 健太郎(いわた けんたろう)

神戸大学大学院医学研究科教授(微生物感染症学講座感染治療学分野)・神戸大学医学部付属病院感染症内科診療科長

1971年、島根県生まれ。島根医科大学卒業後、沖縄県立中部病院、コロンビア大学セントルークス・ルーズベルト病院、アルバートアインシュタイン医科大学ベスイスラエル・メディカルセンター、北京インターナショナルSOSクリニック、亀田総合病院を経て、2008年より現職。著書に『悪魔の味方 — 米国医療の現場から』『感染症は実在しない — 構造構成的感染症学』など、編著に『診断のゲシュタルトとデギュスタシオン』『医療につける薬 — 内田樹・鷲田清一に聞く』など多数。

岩田 健太郎
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