研究の背景 SGLT2阻害薬は、近位尿細管での糖再吸収を阻害し、尿糖排泄を促進することで血糖を低下させる画期的な薬剤である。現在では血糖降下作用にとどまらず、心不全や慢性腎臓病(CKD)に対する強力な保護効果が確立されており、内科診療において不可欠な地位を確立した。 しかし、その作用機序は「尿中に大量の糖を排泄する」という、従来の生理学的常識から見れば異例の状態を創出する。このため、高濃度の尿糖が細菌や真菌の温床となり、尿路感染症(UTI)や生殖器感染症(GTI)のリスクを増大させることが、臨床導入当初からの最大の懸念事項として議論されてきた。本稿では、最新のレビュー(J Clin Med 2025; 14: 1960)に基づき、これら感染症の実態を再検証する。