視力検査不要の時代がやって来る?

画像から視力を推定するAI活用の可能性

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

研究の背景:視力はAIでどこまで予測できるか?

 眼科診療において、「視力」は患者のQOLを大きく左右する最も基本的なアウトカムである。他方、正確な測定には視標・環境・検者・被検者の協力といった人的・物理的条件が整っていることが不可欠である。視力に直結する網膜疾患の診療に携わると、視力という測定環境や患者状態、検者の手技に左右されやすく、再現性に限界を伴う可変的かつ主観的な指標を、定量的かつ客観的に評価する手段の限界を感じることがあるのではないだろうか。

 そのため、人工知能(AI)による画像解析技術が進展する中で「眼底画像や光干渉断層計(OCT)画像といった定量的かつ非侵襲的な情報から、視力という自覚的アウトカムをどこまで予測・代替できるのか」という問題に大きな関心が寄せられている。今回は、糖尿病黄斑浮腫(DME)の既往歴がある患者における眼底写真からの常用矯正視力(SCVA)推定に関する研究(JAMA Netw Open 2025; 8: e2453770)について考察したい。特に、近々日本でも導入が始まると考えられる眼科遠隔医療やAI診療支援システムにおいて、本研究のような手法は極めて実践的かつ示唆に富むアプローチであると考える。

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