【研究の背景】アレルギー反応の原因蛋白質はさまざま 成人食物アレルギー診療において小麦アレルギーは頻度が高く、誤食も多いことから重要な位置を占める。免疫グロブリンE(IgE)依存性小麦アレルギーの診断には、通常、徹底的な病歴聴取に加え、皮膚プリックテスト(SPT)や血清特異的IgE(sIgE)測定が必要である。 特定の表現型を検出する際は、ω−5グリアジンsIgEなどの小麦アレルゲン成分特異的IgEを用いたコンポーネント診断(Component-Resolved Diagnostics;CRD)が診断の精度向上に役立つ。しかしこれらを組み合わせても、小麦アレルギーにおける診断の精度は他の一般的な食物アレルゲンの場合と比較して低い。それ故、小麦アレルギーにおいては、診断のために経口負荷試験(OFC)を行わざるをえないことが多々ある。だがOFCは小麦摂食による症状の再現性を確認する検査という性質上、侵襲性が高く、一般医療機関では施行が難しいため、できる限りOFCを施行せずに精度の高い診断を行うことが望まれる。 そこで今回は、IgE依存性小麦アレルギーおよび小麦依存性運動誘発アナフィラキシー(Wheat-Dependent Exercise-Induced Anaphylaxis;WDEIA)に関する最新レビュー(Clin Rev Allergy Immunol 2025; 68: 47)で示された適切な臨床診断に導くための診断アルゴリズムを紹介したい。