研究の背景:CoSTR 2025公表で続々改訂 今年(2025年)10月に国際蘇生連絡委員会(ILCOR)の「心肺蘇生(CPR)に関わる科学的根拠と治療勧告コンセンサス(CoSTR 2025)」が公表された。このCoSTR 2025に沿ったガイドライン(GL)が世界各地から発出されている。日本蘇生協議会(JRC)からも『JRC蘇生GL2025』オンライン版(パブリックコメント用)がウェブページで公開されており、書籍版は来年3月に刊行予定となっている。その後に、日本救急医療財団の救急蘇生法の指針や日本救急医学会ICLS(Immediate Cardiac Life Support)コースガイドブックなどが改訂されていくこととなる。 本稿では、欧州蘇生協議会(ERC)と米国心臓協会(AHA)の2025年版GL(ERC GL2025およびAHA GL2025)から、主に成人の一次救命処置(basic life support;BLS、Resuscitation 2025; 215: 110771、Circulation 2025; 152: S448-S478)と二次救命処置(advanced life support;ALS、Resuscitation 2025; 215: 110769、Circulation 2025; 152: S538-S577)における特徴的な変更点などについてまとめる。JRC蘇生GL2025が刊行された際に、日本と海外のGLにおける微妙な相違点についても知識として身に付けられることを目的とする。なお、訳語についてはJRC蘇生GL2025オンライン版を参考にした。